長き旅

□紫蘭と花言葉と 
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「紫蘭どうしたんだい?」
一人野原で泣いていた紫蘭に老婆が話し掛けた。
「おばあちゃん…なんで…なんで紫蘭にはパパもママもいないの?」
泣きながら祖母に訴えた。
「紫蘭…何が合ったんだい?」
紫蘭の訴えに祖母は困った表情を浮かべた。
「あのね……」
紫蘭は先程の出来事を話した。
「そうか…辛かったね…」
紫蘭の頭を優しく撫でながら祖母は考えた。
「こちらにおいで」
祖母は優しく紫蘭の手を引き、林の中に群生している紫の花を見せた。
「ごらん…此花は『紫蘭』って言うんだよ」
祖母はしゃがみ紫蘭と目線を合わせながら語り始めた。
「お前のパパとママは確かに死んでしまった…紫蘭の記憶に残らない程…小さいときに…」
祖母は昔を懐かしむように目を閉じた。
「お前はそれでも、パパとママから素晴らしい贈り物をされているんだよ…どんなに高価な宝物にも勝る贈り物をね」
祖母は紫蘭の小さな両手を握り、見つめた。
「素晴らしい贈り物?」
紫蘭は、わからにいとでも言うように首を傾げた。
「名前…『紫蘭』と言う名前さ」
「此花と同じ名前が?」
益々、訳がわからずキョトンとする紫蘭に話しを続けた。
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