長き旅

□平穏と決意
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「はい…お茶…それで…話しって何?」
紫蘭は、晋太郎の向かいに正座をした。


「ん…実はな…壬生浪士組が新隊士を…募集しているんだ」
晋太郎は話しにくいのか、お茶を啜り紫蘭の反応を伺った。

「壬生…浪士組…」
高校時代、幕末マニアの京子から散々話しを聞いていた紫蘭には、それが後の新撰組で有ることも、彼等の末路も知っていた。
「紫蘭は、此処にずっと住んでいて構わないし…金の心配もいらない」
黙り込んでいる紫蘭を心配し、話しを続けた。


「だめ…だよ…。死んじゃう…かも…知れないんだよ?」
瞳に涙を溜め、晋太郎を止めようと必死に言葉を紡ぐ。

「紫蘭…分かってくれ…俺も、幕府の為に何かをしたいんだ」
晋太郎は、紫蘭の瞳を真っ直ぐに見つめた。

【あぁ…もう…決めてるんだ…】
紫蘭は、晋太郎の決心が固いことを理解した。


「わかった…だけど…一つだけ…約束をして?一人で…死んだりしないって…」
紫蘭は、瞳に溜まった涙を手の甲で拭い、精一杯の笑顔を見せた。
「約束だ!こんなに可愛い妹を残して死ねないからな。」
紫蘭を安心させるために明るい口調で約束をした。
紫蘭は、ただ黙って頷いた。
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