桜が一片散った。



僕はあと何回君に出会えるか。
そんなのわからないけど、君に会っている今、会えなくなる未来を想像すると、怖くて咄嗟に目蓋を閉じる。



こんな想いが許されるとは思わない。

骸、それでも君は許してくれるの?


…だから甘いんだ。
君は僕の敵でしょ?馬鹿だね。




だから僕は、この想いを消し去ろうと…思ったのに…



『たとえ会えなくなってしまっても、僕は君を愛します。信じて下さい。』


いつものあの目は、面影もなくて、人間の、守るべき何かを見る瞳で僕を見据える。


…やめてよ。


僕の弱い弱い決心が、どんどん揺らぐ。



『どうしてそんな事言うの?』


そしたら君は、

『そう決めたから』

って言う。


僕だって想いを絶つと決めたんだ。邪魔しないで。



若干緑葉に変わりつつある桜の花びらを見上げて、優しく、どこか悲しげに微笑む。


それには、六道輪廻を思わせるものは欠片もなかった。


『僕は君が好きなんです。』

桜を見ていた目は、おろして僕を真っ直ぐ見つめる。



『…それだけです。』

苦しさを和らげるかのように、俯いて声のトーンを落とす。


君には行かなければならないところがあるんだったね。
だから君は、僕から目を逸らして、背を向けた。


…行っちゃうの?


『また会いましょう。会えますから』






『…待って!』




…馬鹿みたいだ。

離れたくなくて、つぃ君の服のすそを掴む。


『いか…なぃでよ…』



わずかに沈黙が走る。


…恥ずかしい。

でも僕は羞恥心に負けた。
目を合わせていたら、いてもたってもいられなくなるから、目は合わせないけれど。


『…そんな顔、しないでくださいよ』



僕は泣いていた。
君を困らしたくはなかった。

だけど…


優しく君の温もりを感じる。

君より小さい僕を包み込んで囁いた


『泣かないで…』


そんなの、無理だよ…

離れたくない、この手を離したら、もぅ二度と会えなくなる気がしてたまらないんだ…



『…っ』


行かないで、といおうとしたのに、まるでそれ以上言うなとでもいうように、唇でそれをふさいだ。



そのあと、僕を見つめて、やがて去った。




追いかけることはできず、そっと手を離し、ただただ君の背中を見つめていたんだ。






…好きだと、伝えることができなかった。





でもやっぱり、僕は君が好きだ。




六道輪廻を廻ってでも、必ず君に会いに行くから、絶対いくから、

それまで待っててよ。




また桜が一片散った。



(もしも君にあえるなら、僕は六道輪廻全てを廻るだろう。)






あとがき

霧御堂 雪 様に限りお持ち帰り可。
遅れてすいません!
後、何か前呼び捨てで書いてたみたいです。。。申し訳ございません!!

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