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□バカ、意識しすぎ
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学校から2人で帰る途中のことだった。



「だから、―――――っ」
「違う!それはお前が――――」



「「・・・。」」



道のど真ん中で喧嘩をしている男女を見つけてしまった。
どうしよう、ものすごく通りにくい。
でも早くここを通り過ぎないと、逆に気まずいし、何よりも早く家に帰りたいという気持ちもある。


「は、隼人・・、どうしようか・・」
「チッ、」


小声で隼人にそう言うと、一度舌打ちをし、そのまま無言でどんどんその男女に近づいていく様子。
手を絡めて繋いでいたため、自動的に私の体も前へと進む。
え、ちょっと待って待って。この男女をスルーしていくつもり!?
顔をうかがうと、何もないような表情をしてどんどん前へと進む隼人。



そんな私たちに、喧嘩に夢中で気付かないのか、男女の喧嘩はグレードアップしていく。


「も、無理だよ・・・ッ」
「待てって・・!!」



喧嘩をしていた男女の横を、通り過ぎようと足を踏み出した瞬間。






キス。





そう、この2人の横を通り過ぎる瞬間に、男の人が泣いている女の人にキスをしたのだった。
いやいやいやちょっと待って。このカップルらしき人たちは道のど真ん中(しかも仮にも通学路)で何をしているの?!
そして、なんで私たちの存在に気がつかないの!?
・・・・いや、もしかしたら気がついているのかもしれない、でも今はそれどころじゃない、みたいな・・・?


さっきよりもより通りにくくなってしまったこの状況。
早く通り過ぎよう。うん、そうしたい。

でも隼人は何故か動こうとしない!!
なんで!!?





私、帰りたいッ!!!





―数分後




「「・・・・・。」」


なんというか、気まずい。
あんなシーンを見てしまった後だもの。気まずいに決まってる。
これが、キス経験者ならどうってことないだろう・・・。


・・・私はまだ、未経験者なんだから。


は、隼人はどうか知らないけどねッ!!
私は・・・ファーストキス、とか・・まだだし!
うぅ・・・・・な、なにか会話を・・・っ


話をしよう、そう思い、隼人の方を向いた瞬間。




「・・・・っ!!」

「・・・え?」



目が合った瞬間、隼人の顔が真っ赤になってしまった。
・・・え?え、なに・・?!


「隼人?」
「うっせぇ!意識なんかしてねぇっ!!」

「いや、まだ何も言ってないんですけど・・。」



そう言うと、また赤くなった。
なに、これ・・・。隼人・・・どうかしたんだろうか。
・・もしかして、さっきのキスシーンの、所為?

いや、まさか!



「は、隼人・・・?」
「・・・っ、」

「・・・・・・隼人、」

「・・んだよ・・」


本当に、さっきのを意識してるのだったら・・





「キス、しようか。」




「おう、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァッ!?!?」




なに、その表情。
顔赤いし。本当にどうしちゃったの今日の隼人は。
でも、どうやらさっきのキスを意識していたのは図星らしい。
態度で表れてるよ、バカ。



「返事ちゃんとしたんだから、やってよねっ!」
「ちょ、・・んで俺が・・お前、なんか、にっ!」



かみかみじゃん。
言葉も、行動も。全部不自然だよ・・隼人。
自分では分かってないんだと思うけど。


「ほら。」


隼人に向かって顔を突き出したら、焦るような表情をまた、する。
早く、とせがめば目を逸らす。
こっち向け、バカ隼人!


「隼人の意気地なしッ!」
「んだと?!」

「本当のことでしょ?!いつもえらっそーな態度してるくせにこんな時だけそんな態度っておかしいじゃないッ!」

「てめ・・・!」


「隼人のバーカバーカバーk「・・・うっせぇッ!!」



いきなり、隼人が自分の左手を私の腰へと回す。
その所為で、さっきよりももっと隼人との距離が縮まる。
顔も、すごく近い。
そのまま、右手を顎にそえられる。



何もかもがいきなりすぎて、頭がついていかない。



「はや・・・っ」



名前を呼ぼうとした唇は、その瞬間。



隼人の唇によって、塞がれ、た。








(誰が意識なんかするか、)
(バカ。)









ありがとうございました(*^▽^*)ノシ
次ページに一部の補足として隼人目線。



2010.0703 あゆ




企画『素直になれなくて良いよ』様/提出

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