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□勘チガイクリスマス。
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そんな中、ルナマリアは浮かない表情で溜め息をついていた。


「はぁ…」

「どしたの?」

「あぁシン。ちょっと相談に乗ってくれる?」

「うん」


ルナマリアはほんのり頬を染めてシンを上目使いに見た。


「実はね。好きな人がいるんだけど……」



はい?



聞き間違いかと思った。

好きな人?

ルナマリアがそんなことを言うなんて。

しかも、俺に。



シンが何も答えないでいると、ルナマリアは真剣に悩んだ面持ちでするすると言った。


「もうすぐクリスマスじゃない?プレゼントなにあげようかすごい迷ってるの。シンだったら何もらいたい?」


思考停止。



「男の子って何がほしいのかしら」


ようやく我に返る。


俺に訊いてどうするんだ、そんなもん。


シンはうつむいたままで口を開いた。

「…なんでそんなこと」

「だからー、相談よ。私一人じゃ全然わかんなくて」「じゃなくて!」


急にシンが大きな声を出すものだからルナマリアはびっくりしてシンを見た。

シンは顏を真っ赤にさせて、けれどルナマリアの方を見ることはない。

「なんで俺に訊くんだよ!馬鹿じゃないの!?」

それだけ言うとシンは駆け出してしまった。

見ようによっては逃げたとも言える。

ルナマリアは驚いて声をかけるも、シンはあっという間に行ってしまった。

「あっ……」

小さくなる後ろ姿を見つめてルナマリアは深く溜め息をつく。




「馬鹿はどっちよ……」
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