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□弟的コンプレックス
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喧嘩するほど仲がいい。
言いたいことはっきり言い合える相手って、すごいいいことなんだろうな。
我慢して、顔色窺って、遠慮して、そんなの一緒にいたってつまんないもん。
だから、自分の殻に閉じこもってないで、もっと外に目を向ければ良かった。
こんなに近すぎて、君を掴み損ねてた。
「ねぇ、ルナ知らない?」
「いや、見てないけど」
「見かけたら用事あるって伝えといて」
どこに行ったんだろう。
用があるときはいつもいるくせに、肝心な時にいない。
手持無沙汰にポケットに手を突っ込むと小さな四角い箱に手が当たった。
当の用事を思い出してそわそわするのが自分でもわかる。
もう一か月も前から今日の日のことばかり考えていたのに、
肝心のルナがいなくて、なんだか拍子ぬけだ。
「ったく、どこ行ったんだよ…」
廊下の角に差し掛かったとき、一番聞きたい声が聞こえてきた。
「……だね〜」
ルナに駆け寄ろうとして足を止めた。
ルナは俺が見たことない人物と話していた。随分と盛り上がっている。
「アカデミー以来ね。配属違ってから全然会わないんだもん」
「ほんとに。ひさしぶりね、ルナマリア」
ルナの友達?
アカデミ