Main

□はちみつタイム
1ページ/9ページ

「シーン。もう少しで誕生日だね。
なにか欲しいものある?」

雑誌からちらりと顔をあげてルナマリアを見たシンの顔は、どこかほんのり赤く染まって、すぐまた雑誌に視線を落とした。

「別に…特にないよ」
「なにかひとつくらいあるでしょう。服とか、本とか、ゲームとか」
「…ない」
「えー、それじゃつまんないわよ」
シンは首をかしげる。
「つまんないって」
「せっかく私がなにかしてあげようって言ってんだから、甘えなさよ」

雑誌を取り上げて私の方を向かせる。
むぅと口を尖らせて上目づかいにシンはルナマリアを見上げた。
シンはしばらく考えたが、やはり出てきた答えは同じだった。
「ほんとにこれといってほしいものはないよ…ルナがいてくれればそれでいい」
「!」

予想外のことを言われてルナは顔を真っ赤にした。
取り上げた雑誌で不自然じゃない程度に顔を扇ぐ。
「そ、それは別にプレゼントじゃないわよ。私いつもいてあげてるじゃない…」

言って後悔した。なんかものすごく恥ずかしいことを言った気がする。
ますます熱を帯びる顔でシンの方を見る勇気がない。

「じゃあ」

ふふふと穏やかな笑顔を浮かべるシンに、ルナマリアはゆっくりと目を向けた。

「ルナの手作りケーキが食べたい」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ