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□心と体、成長中
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「………また大きくなってる」
それはちょっと前の頃、まだアカデミー在籍中の健康診断での記憶。
「お姉ちゃんそれ嫌味!?」
独り言を聞き漏らさなかった妹、メイリンが目くじら立てて言い寄ってきた。
「だってほんとのことなんだもん。邪魔なのよねーこの脂肪の固まり」
自分の胸を触る。
つい最近まで男の子と変わらずぺったんこだったのに、生理まで始まって、確実に自分の体は女性へと変化しようとしている。
「やだなぁ」
女というものが嫌というわけではない。
ただ立場的に、なめられるのが嫌なのだ。
「邪魔って…」
「訓練の時とかね。いろいろあるのー」
ひらひらと診断証をふって着替に入る。
むすっとした顔でメイリンは自分の胸と私の胸を見比べていた。
そんな妹をちらりと横目で見る。
フリルのついた可愛いキャミソール。
どうせ私には似合わない。
大丈夫よ、あんたは十分可愛くて女の子らしくて魅力的だわ。
姉妹なのにこの違いはなんなのかしら。
好きな人がいるって言うのはいつも妹の方。
私にもそんな感情、芽生えるときが来るのだろうか…。