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□時効でしょでしょ
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「そういえば…」
その時のことを思い出しながら一人で笑っていると、向かいの柵に腰かけたシンが口を尖らせながら言ってきた。
「なんだよ」
ちょっと拗ねながら訊いてくるのよね、わかりやすいやつ。
私はちょっともったいぶるように説明してやった。
「旅行に来たときにね、この公園に来たの」
「うん」
「あたしはまっ先にブランコに乗ろうとしたわけ」
「うん」
「そしたら同時にブランコを掴んだ男の子がいたのよ」
「……うん」
「その子と私、ブランコの取り合いをしてねー、それはもう壮絶な戦いを…」
私が思い出を話してやってるのに、シンのやつ難しい顔をして何を考えているのだ。
「ちょっと、話聞いてる?」
「ああ…聞いてる聞いてる」
「ほんとに?何考えてたのよ」
「いや……俺も前に同じようなことがあったな、と」
「同じって?」
「ブランコの取り合い。見ず知らずの子と。俺が五歳くらいの時に…」
え………なに、その同時期の同体験は。
心臓のスピードが徐々に上がる。
まさか…?まさかその子って…。
「それで?どうなったの!?」