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□全員集合〜車内にて〜
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シンは隣に座るルナマリアに目をやった。
ルナマリアはずっと窓の外を見ていて、自分の視線に気付かない。
ルナマリアは服をとっかえひっかえしたあげく、赤いワンピースに落ち着いていた。胸元に黒いリボンがワンポイントにある、なかなか可愛らしいものだ。

(そんな服持ってたのか)

シンは率直にそう述べようとしたが、拳が飛んできそうだったので思いとどまった。
ルナマリアは普段からスカートははいているが、軍服のそれと今とではシンにとって少し違っていた。ふわりと風になびくスカートを身にまとうルナマリアは、やっぱり女の子なんだということを認識させられる。やはり平手が飛んできそうなので言わないが。
シンはからだが熱くなるのを感じて我に返る。
今この車内にいるのは自分たちだけではないからだ。


「元気そうだな、シン」
左隣から声をかけられ、シンは声のする方へ顔を向けた。
「それなりには」
「そうか」
翡翠の瞳を細めて、アスランは微笑んだ。まるで我が子の成長を嬉しく思うような笑顔だ。
「なんか年寄り臭いですよ、それ」
「いいんだ。シンが元気ならそれで」
ニコニコと笑顔を向けるアスランをどうしたものかと呆れてシンが見ていると、車が信号で止まった。
政庁に行くカガリと別行動をとっていたアスランは、ザフト基地からシン達と一緒にクライン邸へ向かうことになった。
ルナマリアと二人きりだと思っていたシンは、少しばかりアスランを邪魔に思ったが、一緒に行くと聞いた時、眠気が勝ってどうでもよくなっていたのも事実だ。

青信号になり、車がゆっくりと動き出した。
途中でカガリを拾うことになっている。
ルナマリアはぼんやりと外を見ながらシンと同じことを考えていた。
(二人っきりだと思ったのに)
誰のせいでもないのだが、なんだか面白くなくて、ルナマリアはシンと話をすることもなくずっと景色を眺めていたが、それもむなしくなりさぁ会話を楽しもうとしたとき、車が再び止まった。
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