少年陰陽師
□東三条邸
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東三条邸
日は傾き、空は橙色に染まる。
こういう時を黄昏と言う、または大禍時とも言うだろう。
東三条邸の邸内には、黒い鬼のお面を被った者がいた。
陰陽寮の近くにいた者と同一人物だ。
あの紙吹雪を放ってから、そう時間は経っていない。
『東北対屋。見鬼の才をもった女子(おなご)がいるらしいな…』
あいつらもこの辺りにいるだろう…。
『どれほどの見鬼だかは知らないが、まぁ見えるなら…あいつらには極上の食いもんだ』
俺はそんなもの食べたくないが……。
娘がいるという東北対屋を見れば、結界が施されている。
『結界か…。俺が破ったほうがいいのかねぇ…』
ゆっくりと結界に近づき、右手を伸ばす。
《ピリッ》
『おお、痛い』
予想通りの痛みが指先を襲った。
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