短編

□I tracked down you
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「舜生君なんて舜生君なんて、だいっきらいだあああ!!」



今日の午後1時30分に、ある男と待ち合わせしていた。でもその30分前にその男がツインテールのきゃぴきゃぴした子と歩いてたのを目撃した。そして約束の時間、その男は30分遅れて待ち合わせ場所に来た。それがちょうど2時ぐらい。



世間的にこれは言わばデートというやつか…と、どぎまぎしていた私のハートを返してほしい。
待ってるときも思い浮かぶのは舜生君とツインテールの女の子。

そして彼は遅刻。そんなにツインテールちゃんといたかったなら、私なんかほっといてくれっ!と内心カッとなっている私。彼から少し香る女の子のあまい匂い。


で…、冒頭に戻る。




「舜生君なんて舜生君なんて、だいっきらいだあああ!!だけど好きいいぃ

「へ?」

バタバタと顔も見ずに走り出す。突然叫んだ私に呆気にとられた舜生君の顔とか、ちょっと最後に本音をぶちまけちゃったこととか、ぜんぶスルーして駆け出した。


もういいのさ。私は過去には捕らわれない!舜生君なんてどーにでもなっちまえ!

自暴自棄になりながら走る走る。こんなに全力で走ったのは高校の体育祭はよくサボってたから、んんー…中学校の運動会以来だ。

「はぁひゅあーはぁ…」

これだけ息が上がるのは中学からろくに運動をしてないからであって、私は病魔にやられ危篤状態のじいちゃんの呼吸音やらでは断じてない。ただたんに運動不足でこんなざまになってるだけで。

走りに走って辿り着いた場所はありふれた公園。ゾウさんをモデルにした感じの滑り台があって砂場があって…うわ、足ががくがくする。
ついでに目の前が霞む。


「うっ、う゛ぁー…」

私は過去なんかに捕らわれないんだから!そうだっ!舜生君なんてどーだっていいんだ!
たとえ、ツインテールちゃんとラブい雰囲気漂わせようとも、女の子といい感じでも、肩並べて談笑してようが…、恋人みたいだろう…が…。そんなの気に…しな……



「うぁーっ!むりむりむりぃぃい。過去に捕らわれるーっ、気になるぅー!」



ぐすん、私は舜生君のことが好きすぎてダメみたいだ。あーあ、これからどうしよう。






I tracked down you




その後……

「はぁ、やっと見つけた」
「っ、舜生君!……ツインテールちゃんといてもよかったんですよっ」

「(あれは連れ回されながらデートスポットを聞いてただけなのに)」

………

「えっ、ツインテールちゃん彼女じゃないんですか!?なーんだわたしの勘違い。あ、舜生君のこと大嫌いなんかじゃないですからねっ!むしろ大好き……って、ぎゃー(言っちった!!!)」

「へっ?」




ぎゃぐちっく\(^O^)/
悔いはない!


お題提供『ace

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