学校の帰り道。紅く染まりだす町中を、部活で疲れた体を引き摺りながら歩いていた。あのはげ山!私ばっかり厳しくしやがってさ!あいつ私の事絶対嫌いだな。私もお前の事嫌いだけどな。そんな事を思いながらのそのそ歩いていると、横を少年が走っていった。
(おーおー元気があっていいな、少年よ)
まるでオバサンのようなことを心の中で呟いた。そんな束の間、少年に大型のトラックが迫っていた。
「ちょっ、危ない!!」
そう叫んだのと同時に私の体は勝手に少年に向かって走り出していた。自分でも吃驚するくらい足は軽くて、オリンピック顔負けな程速く動けた。
間に合え……!!
キキキキ―――
ドンッ!
少年を抱き締めたのと同時に襲いかかる衝撃。
トラックに轢かれたハズなのに、痛くない。
――ああ、死ぬときってこんな感じなんだな。
私はゆっくり、瞼を閉じた。