向日葵の君

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私が生まれ変わって早くも3年が経った。
どうやら私が生まれたのは驚く事にアメリカだった。
だけど両親は列記とした日本人。
ここでの母さんは凄く温厚で優しい素敵な人だ。それに比べて父さんと言ったら……。






「よーし桃胡。今日は特別にテニスを教えてやるよ」


『てにしゅ?』





コテン、と可愛らしく首を傾げてあたかもその単語を知らないふりをするが心中そんなに穏やかではなかった。


まだ3歳なのにテニス!?あなたは一体何を考えてるんですか!?

無理矢理手に握らされたラケットを見て小さく溜め息を吐いた。
デカいよ、デカくて振れませんよお父様。

そんな私にお構いなしに父さんはボールを此方に投げてきた。
もうこうなったらヤケだ!!






『えい!』






スカッと私は清々しい程に空振り、勢いあまって尻餅をついた。
いたァァァ!!




「ははは、やっぱまだ無理だったか」







にゃろう……!!
私は体勢を直し、今一構え方も解らないがそれっぽく構えてみた。






「ほーう、負けず嫌いなとこは俺そっくりだな」






父さんは笑いながら玉を投げてきた。
今度こそ打ってやるわボケェェェ!!






『やぁ!』






パコ!っと情けない音を立ててラケットに当たったボールはヒョロ〜と弱々しく飛んで行き、
ギリギリ相手側のコートに入った。






「やるじゃねーか!
流石俺の娘だ」





コートを跨いで私の側まで来た父さんは膝を折り、私に目線を合わせガシガシと頭を撫でてきた。

俺の娘だ、か。
その言葉はいつも私の心を暖めてくれる。
この世界での居場所がココだと、言ってくれている気がするから。
単に自分を安心させるための妄想だって分かってるんだけどね。





 


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