3Z後輩

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振り向くとそこにいたのはさっきのユルユル先生だ。



「お前アレだろ?さっき松平のとっつァんにみっちり絞られてた新入生だろ?」

『…そうですが。それが何か?』

「…おいおいなんだよその目は。大人なんか信じなーい、ってか?」



…大人?


まぁ大人か。



私が『別に』と短く言うとユルユル先生が「ほれ」と言い私が愛用している…



『マイ双眼鏡!!』

「なにその変わり方」

『どうしたんですかコレ!?取り返してくれたんですか!?』

「いや取り返したっつーか。とっつァんに頼まれたんだよ」

『え?』

「あのおっさんも素直じゃねーからな。自分で返すのはプライドが許さないんじゃね?」



なんじゃそりゃ。



『まぁいっか。
あーでもどうせならもう少し早く返してほしかったですよ』

「は?」

『でも返ってきたんでいいです!じゃ、』

「いや待て待て待て!お前お礼は!?」


先生は私の肩を掴みながら引き止めた。



『お礼?』

「なんかあんだろうが!『ありがとうございました』とか!俺もんなちっせーこと普段なら気にならねェが今のは気になった!!なんかお前がウザかった!!」

『…はァ、そうスか?
じゃあ…ありがとした』

「なんかひっかかんだけど。まぁいいわ。最近のガキゃあ何考えてんのかさっぱりわかんねェ。

で?さっきはいったい何をネチネチ怒られてたんだ?」

『いや〜、アレですよ。美形探し』



私が正直に言うとユルユル先生は心底、呆れた顔をした。


「わざわざ双眼鏡ご持参で?はァー、ご苦労なこったなァ。で?いい男いたの?」

『えへへ。まぁ…』

「そりゃよかったじゃねーか。でもあんま男にばっかうつつ抜かしてんじゃねーぞ。
ま、入学したてで浮かれてんのもわかっけど男選びも程々にな」

『ああ、さっきのは男選びじゃありませんよ。選び終わった王子を探してたまでです。まぁ新たに王子を見つけちゃいましたけどね』

「何人王子がいるんですか?
つーかなんで双眼鏡?」

『目が悪いんです』

「眼鏡かけろよ。わざわざ双眼鏡持参する程じゃねーだろ」

『嫌ですよ。顔変わっちゃうもん。眼鏡なんてダサい』

「眼鏡かけてる人の前で失礼じゃね?まぁ俺のは単なるキャラ作りだけど」

『キャラ作りなんですか?』

「眼鏡が嫌ならコンタクトにしろよ」

『(流した)嫌です怖い』

「お前わがままだな。どっちにしろ双眼鏡の出番はないだろ」

『出番ですよ!これがなきゃ私の視界は一気に悪くなります!!』

「いやだから眼鏡かけろって」

『いやいやだから「ちょ、もういいわ。なんかお前めんどくさい。もう勝手にして下さい」



先生はそう言ってあっち行けと言わんばかりにシッシッ、と私を払い退ける。


なんだこの人は。自分から呼びつけといて。
まぁマイ双眼鏡を届けてくれたから有り難いけど。



私が軽く挨拶を残し後ろを向くとちょうどどっかの生徒がユルユル先生に用があったらしく先生を呼び止める声が聞こえてきた。



「こんなところにいやがったか」

「あん?なんだコラ。俺のこと探してたのか?ん?」

「別に探してねェよ。つーかクラスほったらかしてプラついてんじゃねェ」

「おいコラ。教師には敬語を使え」





『……』


私は先程、首にかけたばかりの双眼鏡を目にあて中を覗き込む。




…お…おおお、




『王子ィィィィ!?』



「「あん?」」







END
 

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