フリリク

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※吉原編後














何を思ったのか団長は俺の腕を肩に抱えて支えながら歩く。


団長もとうとうイッちまったか。
それともこれは幻覚かなんかか?俺がおかしいのか?あの団長が他人に肩貸すなんざありえねェ。



そんなこんなで俺らは宇宙(そら)に戻るため地球に来るときに乗ってきた船の停船場へと向かった。




―――――――――――



―――――――――



「お兄さんお兄さん、うちの店寄ってかない?」


「お、旦那方!ココいい娘揃ってるよォ?寄ってかないかい?」




女や男で行き交う通り。【色街通り】と書かれた場所に俺らはいた。







「……」


「あっはっは。なんだココ」



団長に支えられながら歩いて着いた先。
そこは吉原とさほど変わらない町並みだった。







「おい!!宇宙に帰んじゃねェのかよ!?」

「帰るよ?」

「なんだよココ!全然違ェとこ来ちゃったじゃねェか!」




団長に支えられながら着いた場所。団長がさっさか歩いて行くからてっきり停船の場所を知っているのかと思っていた。



俺が帰りの方角を調べているとしばらくして静かな声音でぽつり、と団長が言った。






「悪いね阿伏兎」

「あん?」

「先帰ってて」

「は?」




訳がわからず聞き返す。






「せっかく地球に来たんだし、俺はちょっと遊んで行くよ」


「………ハァァァァァ!?」




何言ってんだこの人ァ。



いやいくら盛りの青少年だからといって。







「ふざけんなよ団長。俺らに遊んでる暇なんざねーだろうが。元老(うえ)にも報告しなきゃなんねェし「うん。だからそこは阿伏兎が一人で行ってきなよ」




こっ…こいつ…!




部下を差し置いてテメ一人で遊びほうける気かよ!!





「俺にもガス抜きが必要なんだよ」



何言ってんだあんたにガスなんか溜まんェだろ。


あんたに溜まるなら俺は今頃ガスの溜まりすぎて破裂してるぞ。






「じゃそういうわけだから。よろしく頼んだよ」



そう言うと団長はドサリ、と俺を道の真ん中に残して歩き出した。





「オイィィィ、待てやすっとこどっこい!!戻ってきやがれェェェェ!!」



無視を決め込み歩を緩めない団長の周りには早くも女達が集まって来る。







「…あの野郎…」





諦めろ、俺。怪我人を躊躇いなく放置できるのが団長だ。








仕方なく俺はズルズルと足を引きずりながら停船場へと向かった。






**






「…やっとだ…」




あれからどのくらい経ったのか。やっと色街通りとやらの出口付近に辿り着いた。






やべーな



とっとと地球を出ねェと





ここには真選組とかいう面倒な連中もいるらしい






急がねェと――


『お兄さん』




顔を上げた俺の目の前にいたのは思春期真っ盛りぐらいの年頃の娘だった。




怪我の痛みで身を屈めていた俺は娘の高さと同じくらいの目線だった。
娘は俺の足を指差しながら言った。





『大丈夫ですか…?足…』

「ああ、どうってこっちゃねェ」

『でも――』




娘を無視して俺は再び壁を伝うように歩き出した。                    
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