†FreeButterfly†
□〜第三章〜
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「確かに酷いけどさ。まぁそれこそ二流雑誌の、」
気にするなとフォローしようとしたがカイの睨みによって止められた。悔しさでなのか少し涙目なのが心臓に悪い、と健一は思った。
「誰に渡されたと思う?」
だから健一はカイの発した言葉を理解するのに数秒を要した。てっきり何処かのコンビニででも見つけて買って来たのだとばかり思っていたのだが。
どうやらそうではないらしい。今度は怒りでカイがプルプルと震え出している。どうしよう。全く恐怖を感じない。むしろもっといじりた、いや何考えてんの俺。
そんな健一の脳内葛藤など露知らず、カイは健一の膝上にある雑誌をベン!!と叩いた。つまりは雑誌の上から健一の膝を殴った訳である。
どんなに可愛くてもカイは男、その力は女の子のそれとは雲泥の差で痛かった。
「オレ達のマネージャー!映東の人!!オレ、その雑誌笑いながら渡されてん。何か知らんけどごっっっつ腹立って・・・・、」
でも、とカイは目を少しだけ伏せる。まるで泣いているようで健一は少しだけ焦ったが泣いている訳ではないらしい。しかしその目は哀しみに揺れている。
「・・・書いてある事、あながち嘘でも無いな、とか・・・」
確かに、お互い売れてるとは言い難い。健一自身ここ最近やっと、端役が回ってくるようになった程度だし、カイもやっとインディーズとしてだが地位を確立し始めたばかりだ。
これから。二人とも、これからの人間なのである。まだ暗中模索な状態であそこまで書かれたらさすがのカイも落ち込むしかなかったのだろう。
しかもそんな雑誌を他の誰でもない自身の(一時的とは言え)マネージャー自らの手で渡されたのだ。
健一が何と言ってやったら良いのか迷っていると下げていた視線をカイは健一にもう一度合わせた。
「んで、オレ決めて帰ってきてん!!」
「何を?」
決意に燃える真っ直ぐな目に射抜かれながら健一は多少の嫌な予感を覚えつつそう訪ねる。
―――カイのその小さな口から紡ぎ出されたのは健一の想像を遥かに凌駕したもう何て言ったら良いのかわからないものだった。
「やろう!健ちゃん!!」
「!? !!あぁ、おお!!頑張って見返してやろうな!!」
一瞬勘違いしそうになるじゃねーかぁぁぁ!!!頬をほんのり染めてうるんだ目で言いやがってぇぇぇ!!!!
健一の脳内葛藤は未だピークを迎えたままだったが危ない危ない、と額を拭いながら応えたが、カイは違う!!と頭を左右に振った。
「ちゃうねん。いや大きい意味ではそうやねんけど、そうやなくて、」
どんどん顔の赤みが増していくカイに健一は背中を汗が流れていくのを感じていた。まさか、いやいや、でも、まさ、か?
「せっくす!!とりあえずやってみたら何とかならんかな!?」
はぁぁぁぁいぃぃぃぃ?
健一の脳内はスパークした。