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□あなたは笑うと、おいしそう
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※直接表現は無くても事後っぽいです。苦手な方注意!
※どこもかしこも妄想乙。
ありえねえ…
口の中で呟いた一言は勿論目の前のこいつには届かず、先ほどから変わらずにこにこと笑っている。
ただし、目の前の折原臨也は普段こんな“純粋”で“白い”柔和な笑みは浮かべない。
もっと“悪意”に満ちた“黒い”口の片端を持ち上げるような、見ているだけで気分の悪くなるような笑い方をする。
夢だな。
一人で勝手に納得して(夢ならこいつを一回殺して現実でもう一度殺そう)と物騒に片腕を振り上げた。
「シズちゃん。大好き。」
目の前の(偽)臨也が甘ったるい声で囁いてきた瞬間。俺の中で何かが切れた。
(俺は)
「てめえがきらいなんだよいぃざぁあああぁやぁぁぁあああぁぁああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「シズちゃん…うるさい…」
目の前から殴らんとした臨也が消え隣に寝そべる臨也が文句を垂れる。
…夢から覚めたことは理解したが(夢の中での)こいつへの殺意は一向に冷めない。
「っていうかさ、昨日散々好き勝手やっておいて起きたら煩く嫌いとかさ、とんだDVだよねこれ。シズちゃんと家庭作るつもり無いけど。」
「こっちから願い下げだよ臨也くん。殺らせろ。」
「やだぁー朝からやるとかシズちゃんってば俺にどんだけ無理させたいの!」
「殺す!殺す殺す!!!」
はいはいと俺の隣をすり抜けて(いろんな意味でスルーしやがった)使い慣れたように台所を物色する(ここは俺の家だ)臨也。
いらっときたが、臨也の「いつものコーヒーもいいけど今朝は紅茶にしない?」とか言いながら見せた、持参したであろう外国語オンリーのお高そうなパッケージに殺意を削がれ「あー…」と曖昧な返事をすると「うん。どっちでもいいならもう淹れちゃうね。」と悪戯っぽく笑うこいつに更に殺る気を削がれた。
ただし、
「いっ!?いたぁぁあ!!」
少し別のヤル気を刺激されて思わず噛み付いてしまった。
白い首筋を遠慮なしに見せ付けるこいつが悪い。
綺麗に筋の通ったそこに歯を立ててきつく吸うと鉄の味が広がる。(やりすぎた…)
「ひ、ぃ…い、たぁ…」
縋るように、窘めるようにギリギリと俺のシャツを握るこいつには更に加虐心をそそられるがこいつの薄い首元は余り力を入れすぎると食い千切ってしまいそうだ。
流石に少し気まずくなり臨也を解放すると奴は少し涙目になりながらもこちらを嬲る口実が出来たとばかりに不敵な表情で見下してきた。(実際は見上げているが)
「シズちゃんってさあ、犬っぽいよねぇ、それも駄犬?言う事聞かないしあちこちで暴れまわってるしさ、ちょっとは人間らしく出来ないわけ?恋人を噛むって普通甘噛みとかだよね?今絶対噛み千切る気だったでしょ?それとも何?カニバリズムの気が…」
うるさい臨也は力ずくで黙らせろと既に体のほうが先に反応している。
パキパキと心地の悪い音を狭い部屋に響かせる俺の拳を見てキッチンの端に追いやられている臨也は顔を引きつらせながらもなんとか苦笑いを浮かべる。
俺もきっと笑っている。余裕の無い笑い方のこいつは見ていてなんと心地良いモノか。
「シズちゃんってサドだよね。」
だが悪態をつくことを止めないこいつにはほとほと呆れかえる。
俺が眉根を顰めると臨也は口端をあからさまに引き上げた。下唇を少し食んで笑うその姿は猫のようだと思わず首元に手を伸ばすとまるで思考を読まれたかのようにするりとすり抜けてしまった。(ああ、俺が犬なら、ぜってえこいつ猫。多分無駄に血統書付。だ。)
だが所詮は狭い部屋の中なので、もう片方の手を伸ばしてすぐに捕まえられた。
臨也は相変わらず笑っている。
「ならてめぇはマゾで間違いねえな。わざわざ新宿から殴られにご苦労なこった。」
「いやだなシズちゃん。俺はお仕事で来てるだけなの、シズちゃんはついでだよ。」
こいつの言葉に俺がどんな顔ををしたかなんて見たくもねえ。
ただ、こいつの笑みがにやにやと、俺がイライラとするモノに変わるのを見るだけでもそう思う。気まずくなって顔を逸らすと、
「かーわい。しずちゃん。」
などと囁いて抱きついてくるが、こんな事いう奴はこいつか狩沢くらいなもんだろ。
ついでとばかりに、
先ほどの仕返しのつもりか俺の首元に歯を立てるがナイフも刺さらない俺にこいつの軟弱な犬歯が突き刺さるはずもない。
案の定ちくりともしない内に臨也は顔を上げて俺をじとりと睨んだ。
「空気読めよ規格外め。」
知るか。
※性格の悪い臨也さんが大嫌いなのに性格の悪い笑い方をする臨也さんが好きな噛み癖駄犬なシズちゃん萌え。どこまでも妄想乙。
池袋25h.様に参加・提出させていただきました。