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□各駅停車の恋
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ある朝、駆け込み乗車して来た赤毛が気になっている。

…あまり良くない意味で。



そいつは物凄い勢いで階段を駆け下りて来て物凄い速さで閉まりかけのドアに接触する事もなく綺麗にすり抜けた。

その速さと言ったら恒例の「駆け込み乗車は危険ですのでお止めください!」が聞こえなかったくらいだ。(あまりの勢いに気圧されたか見逃したか…)

男は暫く満足気に窓の外を眺めていたが、次の小さな駅に止まった瞬間、表情が凍りついた。

俺は理解した。
こいつ乗る電車間違えたなと。

暫く赤毛はうなだれていたが、「まあ、いいか。」と全然良くなさそうな独り言を吐き出して、俺の隣に座った。





俺は固まった。





(な、なんで俺の隣なんだよ馬鹿、馬鹿…馬鹿!意味わかんねー!朝から馬鹿やってる馬鹿がいるとか考えてたからか!?頭の中読まれたのか?!…ああああ畜生少し吹き出したの見られたか!?だとすると気まずくて仕方ないんだが!)


そんな事を思っていたら次の日からそいつが毎日同じ電車の同じ車両に乗ってきましたとさ。




…どうしよう。



せめてもの救いは帰りが一緒じゃ無い事…って当たり前だ!一緒だったら怖すぎる!ストーカーか!?…ストーカー…?…すとー…かー…?


ぶるりと身震いを起こすほど嫌な考えを振り払うように、更には眠気を振り払うように頭を軽く振るが、頭に掛かる眠気という名の霧は全く晴れない。

俺はいつもバイトをしているが、今日は同じバイト先で働いているぐら…ぐ……金髪碧眼の前髪ウザい男に構われ倒されていたらこんな時間になっていた。金髪前髪ウザ男しね。


終電手前の電車に慌てて乗り込んだは良いがそれでも人がそこそこ乗っている。しかも疎らな癖にどの席にも人が…うざい。俺が座れない。うざい。俺は知人以外の人間は苦手なんだよ。女々しい俺うざい。



仕方なく手すりに掴まり人がはけるのをじっと待つ。
こつりと手すりに額を当てるとひんやりとして気持ちが良かった。


そうして立ったまま眠りかけていたところで体に違和感が起こった。


浮遊感。


あぁ、ふわふわする。体重が掛かっていた手と額と足が一気に楽になる。そのまま降下して横たえられ…る…

…横たえられる?


何かおかしいと目を開く。

すると、なんということでしょう。

めのまえには、

りっぱな、あかげのかれが。




「こんばんは!」


「…どうも…」




初対面のはずの俺を担いで席まで運んできた赤毛はあまりにもはさわやかに挨拶してきた。

思わず素で返してしまった。








俺は混乱していた。
目の前には大きな目を更に大きくして俺を見詰める彼がいる。

いきなり挨拶してしまった。
いや、挨拶から入るのは人として当たり前だ。問題ない。
問題と言えばこの後だ。
どう会話を繋げる。
好意があることを出来れば伝えたい。
印象に残ると尚良い。次に会うことを視野に入れてだ。
更に小粋なジョーク交じりだと完璧だ。…よし!









俺は混乱していくぁwせdrftgyふじこlp;
目の前には赤い髪の奴がにこやかに俺を見据えている。
すとー…とか考えてしまったからか滅茶苦茶に怖い。

取り敢えず相手を刺激するようなことは言うな。
できるかぎりオブラートに言葉を包んでこの場をやり過ごすんだ。
俺は口汚いから気をつけないとな…



そして赤毛の奴は口を開いた。









「俺という名の夜行列車に乗ってみないか?」


「意味わかんねえしキモいんだよこの×××××」










/まだまだ各駅列車は運行予定!(のんびりといきましょうか)

最悪ですみません企画に参加させていただき、ありがとうございます。
もう一度すみませんでした!
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