タイムスリップ
□タイムスリップ C
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じゅに子「・・・ケンカ、した?」
関太郎「そりゃあもう、いーっぱいしたで」
じゅに子「仲直りは?」
関太郎「そうやなぁ・・・いつの間にか」
じゅに子「ふぅん・・・」
関太郎「それでいっつも思い出すねん」
じゅに子「何を?」
関太郎「昔もようケンカしたなぁって(笑)」
じゅに子「・・・そっか(笑)」
関太郎「ケンカばっかりやろ?17の頃」
じゅに子「うん。ケンカばっかり」
関太郎「信じられへんやろ?俺と結婚してるって」
じゅに子「うん。信じられへん」
関太郎「でもな、不思議と通じ合ってくるねん」
うん。ホンマに不思議や・・・
じゅに子「・・・もし」
関太郎「・・・?」
じゅに子「もし、あたしの記憶が戻らなかったら?」
関太郎「え・・・?」
じゅに子「今のあたしの記憶は東野とケンカの日々しかない・・・」
関太郎「うん」
じゅに子「思い出・・・覚えてないのに」
関太郎「うん」
じゅに子「それでもあたしと一緒におれる・・・?」
これがSF映画でもなんでもないなら、あたしは10年間の記憶がないまま、一人だけタイムスリップした状態でこれから生きなアカン。
それでも東野はあたしと一緒におってくれるんやろうか・・・?
関太郎「・・・アホやろ」
じゅに子「え・・・?」
関太郎「じゅに子と一緒におれるかって・・・」
じゅに子「っ・・・」
関太郎「俺がじゅに子と一緒にいたいんやから、何があっても離す訳ないやろっ///」
ドキン・・・
じゅに子「東野・・・」
関太郎「それに、思い出は俺の記憶にちゃんと残ってる」
じゅに子「・・・っ」
関太郎「どうしても必要なら何日かかってでも俺が全っ部話したるっ」
じゅに子「・・・うん」
関太郎「じゅに子はこれから10年分・・・いや、それ以上の思い出を俺と作っていけばいい」
この人は・・・東野は今ここにいるあたしをそのまま受け入れてくれる。
関太郎「そうやろっ?」
じゅに子「・・・うんっ・・・!!」
未来のあたしが東野を好きになった理由が少し分かった気がした・・・。
鼻の奥がツンとして、唇を噛み締めた。
そんな姿を見られたくなくて下を向いたあたし。
そんなあたしの頭をガシガシっと少し荒っぽく撫でた大きな手。
17歳のあたしは東野にそんな事されたことない。
でも・・・
その大きな手の感触を、どこか懐かしく感じる自分が確かにいた・・・。
つづく・・・