企画

□恋の始まり
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その日のイタリアは希に見る大雨で、ターゲットには逃げられ愛人にはフラれ雨には打たれで機嫌最悪の俺はカフェの下で雨宿りをしていた。

だが雨は中々止まず激しくなる一方

諦めて濡れて帰ろうとしたときだった



「うわっ!!貴方びしょ濡れじゃないですか!?大丈夫ですか!?」



丁度カフェから出てきた女が慌てて駆け寄ってきた。

顔は美人というより可愛い感じの中性的な顔で体格は小柄だった。

女は鞄からハンカチを出し俺に向けて寄越した。



「これ使ってください」


「………」



最初に言ったようにこの日機嫌が悪かった俺はこの女の話を無視した。
そうすれば諦めて帰るだろうと思ったが、その女はハンカチを広げて無理矢理拭き始めたのだった。



「Σ!!おい、やめ…」


「早く拭かないと風邪引くでしょ!!大人しくしてろ!!」


「……………」



何故かその女には迫力があって、怒鳴られた瞬間逆らえなかった。
空気が強張っていた。

俺は大人しくされるがままになり、上からその女を眺めていた。



「はい、拭けましたよ。後これどうぞ」



そう言って女が渡したのは綺麗に畳まれた折り畳み傘だった。



「……お前はどうすんだ」


「お、……わ、私は迎えが来るので大丈夫なんです。気にしないで使ってください。では」


「あ、おい!!」



その女は傘を渡してそのまま雨の中を走っていった。

俺は受け取った傘を暫くぼーっと見つめていた。





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