短編2

□君がいたから
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静かな夜の路地裏で表の穏やかさとは
かけ離れた銃撃戦が行われていた


「っ……」


漆黒の少女は重傷を負いながら最後の相手を殺し、素早く路地裏を出た。


「クソッ……油断した。」


腕と足から血が滲み出ていた。


「ヤバッ……」


そして彼女は意識を失いその場に倒れてしまった。




********


「ん……ここは…」


目を覚ますと見知らぬ天上…

自分はどうしてこんなとこに?


「目が覚めた?」


横を見るとこの家の主であろう男がいた


「な…んで」

「君家の前で倒れてたんだよ。大丈夫?怪我した腕と足は止血しといたけど…」


よく見ると着ている服が自分の服と違った。
不思議に思っていると男が苦笑いをしていた。


「俺が脱がしたんじゃないから安心してよ。最初は俺がやろうと思ったんだけど……君、女の子だよね」

「Σ!!……何でわかった」

「俺にはそう見えたよ。で、俺の女の子の友達が着替えさせてくれたから安心して」

「……」


黙れこんだ俺を見て、男はにっこり笑った。


「君、名前は?俺は沢田綱吉。ツナって呼んで。」

「…俺は……リボーンだ」

「……リボーンね。所でリボーンは何であんな所で倒れてたの?しかも血だらけで……」

急に男の目が鋭くなった気がした。

それを見ていると嘘がつけないような感じに浸っていく。

意を決して俺は本当の事を話した。


「俺は普通の人間じゃねぇんだよ。俺は業界一の殺し屋…ヒットマンなんだ。昨日はちょっと油断して…」

「……リボーンは強いんだよね。じゃあ何で油断なんかしたのさ」

「………」

「言いたくないならいいんだけど…」

「……女だとバレたんだ」

「何で?」


一々説明するのが面倒なので俺は起き上がって相棒の名を呼んだ。


「レオン……もういいぞ」

「?……Σ!!っ」


レオンとは俺の相棒で形状記憶カメレオンだ。

レオンは今、男用のウィッグに化けていて、俺が名前を呼ぶとそれをといた。

と同時に俺の本来の髪の毛が姿を現した。


「俺の本来の髪の毛は長髪でな、いつもは普通のウィッグを被っているんだが、昨日弾が当たってウィッグが取れちまったんだ。それに油断して…………ツナ?」


ツナは固まったままこっちを見ている。

どうしたんだ?


「ツナ」

「Σ!!……あ、ごめん。」

「どうした?固まったりなんかして」

「いや……あの…」


アタフタと騒がしいツナは頬を少し染めていた。


「何だ?はっきり言え」

「…だから…えっと………あまりにも綺麗で…」

「はぁ?」

「いや!!変な意味ではなくて!!その…本当のリボーンの姿を見たら純粋に綺麗だと思っちゃったんだ。」

「Σ!!//////」


自分の顔が赤くなるのがわかった。

今まで何人もの奴らに綺麗だと言われたが、今が1番心に響いたと思う。


だがいくら綺麗だと言われても俺は血で汚れてるし、醜い呪いもある。

実際は綺麗ではない。


そんな俺を感じ取ったのかツナが口を開いた。


「……リボーンは綺麗だよ。例え血で汚れてても………呪いをかけられていても、ね」


ツナの言葉にハッと顔を上げる

こいつは今、何と言った?


「お前……何者だ?」

「ん?普通の平凡なおっさんだけど?」

「(平凡なおっさんって…こいついくつだ?)そんな訳ねぇだろ。」

「本当だよ」

「じゃあ何で呪いの事を知ってるんだ!!」


マフィア関係者じゃなきゃ知らないこの情報を何故普通のおっさんが知ってるんだ。


「………しょうがないな〜。じゃあ本当の事話すよ。」

「………」

「直球に言うと俺ってボンゴレの血が混じってるの。まぁ、所謂次期ボス候補だね」

「Σ!!」


そう言われれば少し納得がついた。
呪いの事を知ってるのも、血だらけの俺を見ても驚かないのも納得がいく。


「俺、今までボスなんてやりたくなかったんだ。だって毎日命を狙われる日々でしょ。俺は平凡に暮らしたかった。でも…」


そう言うとツナはチラッと俺を見てニコリと笑った。


「どうやらリボーンに惚れちゃったみたい。リボーンがずっと側に居てくれるならボスになってもいいかな、なんて」

「Σ!!なにをいって…」

「本当だよ。好きだリボーン。だからずっと側に居てよ。」


普段の俺ならこんなの軽く受け流している。なのに…ツナに言われるとどうしても拒否が出来ない。


「……好きかどうかなんてわかんねぇが…一緒に居てやるのは許してやる」


そう言うとツナは大空みたいな笑顔を俺に向けてきた。


「ありがとうリボーン。じゃあ9代目に電話してくるよ。」

「あぁ…。」


そう言ってツナは部屋を出ていった。


「変な男だな。レオン」


レオンは合図をするかのように、俺の指をペロッと舐めた。


「嫌がってない俺もどうかしてるぞ。」


口ではこんな事言いつつも、心は喜んでいるのが分かる。


「……楽しくなりそうだな」


これからの日々を考え、俺はひっそりと笑っていた。





END

(リボーン!!9代目が俺の家庭教師やってくれってさ。)
(チッ、9代目の命令となっちゃ断れねぇな。)
(てことでよろしくリボーン。所でリボーンいくつ?)
(16だ。お前は?)
(26だよ)
(はぁ!?10も年上!?見えねぇぞ!!)




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