* 連載モノ。 *

□mana
1ページ/57ページ

#1

また逢えるだろうか。。。。


わいとマナが出会ったのは沖縄の海辺だった。

撮休の日は目覚ましをかけずに眠れるだけ眠った。そして昼過ぎに起き出しシャワーを浴び、遅い昼食を食べに出かける。
その後、散歩がてら近くの海辺を歩くと小さな小道を見つけた。

人が1人通るだけの狭い道を抜けると、少し入り江になった静かな海辺に出た。
こんな街のすぐそばにある海岸なのに、誰もいないその海は静かに波を寄せている。
砂浜は白く細かくさらさらで、波打ち際近くにベンチのように倒木がある。そして砂浜の入り口近くには大きな木もあって木陰で休むことも出来る。

わいは倒木に腰掛けて、夕日が海の色を変えながら落ちてゆくのをただじっと見ながら、
今、最高に贅沢な時間を過ごしてる自分に少しニヤケた。

わいの秘密の場所にしよう。



その日以来、わいは撮休の日は勿論、撮影が早く終わったり時間が出来た時や、1人で集中したい時にココを訪れるようになった。

*

*

ある日の撮休日、わいはいつものようにゆっくり起きだし、遅い昼食を済ませアノ場所へ向かった。

小道を抜けると見えてくる砂浜の倒木。そしてわいの特等席・・・・に先約がいた。
『今日は帰るか。。。』とも一瞬考えたが、そこに座る髪の長い女性があまりにも景色に溶け込んでいたので、それは景色として見ようと後ろ側の木陰に座った。

海から吹く風が気持ちよく、波に反射する光と海風になびくその人の髪を眺めていた。
どれくらい時間が経っただろう。
不意にその人は立ち上がり、ゆっくりと踊りはじめた。
『何がはじまるんだろう?』
その動きはゆっくりで、ゆっくりで、指先までしなやかに動き、時折見える彼女の横顔からは、シアワセな何かを見ているような微笑をたたえていた。

わいは、何だろう?何だろう?と思いながら目が離せないでいた。

そうしているうちに夕日が海に落ちはじめ、彼女のシルエットを浮き上がらせ一枚の絵を見ているようだった。


踊り終わった彼女がペットボトルの水とタオルを手に持ち、多分聴きながら踊っていたであろうイヤフォンを外しながら振り返った。
彼女は初めてわいの存在に気付き、少し驚いた顔を見せたが小さく微笑んだ。

わいも小さく会釈を返した。
そうして彼女はわいの横をすり抜けて帰っていった。
かすかに花のような香りがした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ