* キャラクター編 *

□松ウザー。
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DMCのエキストラとして初めて参加したのは、撮影も終盤にさしかかった頃だった。
私はケンイチくんに会えることを期待して撮影に挑んだのだが、残念なことに今日の撮影は映像のライブを見ながらのエキストラ撮影ということで、DMCのメンバーは現れないとのことだった。

私達エキストラの中には純粋にDMCのファンも大勢いたが、ケンイチくん目当ての参加者が大半をしめていたので、会場には落胆の空気が流れた。

それでも、私達はこの映画をいいものにしたいというスタッフさんたちの意気込みとDMC信者の熱と、何よりケンイチくんのためにもこの撮影を素晴しい物にしたいという気持ちで撮影に向かった。

何度もテイクを繰り返し、ようやくOKが出されこの日の撮影が終わろうとしていたときだった。ケンイチくんが、いやクラウザーさんとジャギ様が突然現れた。
来るはずのなかった主役の登場に会場内が瞬く間に異様な熱気に包まれた。

歓喜に沸く会場の中で私は、美しくも狂気を漂わすクラウザーさんに一瞬で心を奪われた。
『これが・・ケンイチくん・・・?』

さっきまで映像の中にいたクラウザーさんはもちろん凄かった。これがケンイチくんかとも何度も思った。でも、生で見る彼は映像では計り知れないほどのパワーが溢れていた。

そして目の前にいるのは松山ケンイチでなく、紛れもないクラウザーU世そのものであり、彼から吐き出される声は低く、言葉は高圧的であり、視線はゾッとするほど強く妖艶だった。

ステージの上では、原作さながらに公開処刑が行われ更にボルテージが上がった。

「じゃあ、あれ やるか?」

彼の言葉に会場が揺れた。
そして“SATSUGAI”が流れはじめ彼が絶叫すると、一気に会場が熱に包まれ彼の激しいライブパフォーマンスに私達は文字通り“SATSUGAI”された。

割れるような歓声の中、彼は言った。

「濡れただろ?」

撮影とは関係のないライブ、しかもエキストラだけのために向けてくれた彼のパフォーマンス。
エキストラ達は彼の粋なサプライズに酔いしれ、そして彼の放った「濡れただろ?」のセリフに絶叫しながら歓喜した。

私は、息を切らせながらそんな言葉を放ち「ファック!」を連呼する彼の表情が上気し、高揚しているのをうっとりと見つめていた。
そして、ステージを去る彼の背中に私達は口々に「レイプしてー!」「SATSUGAIしてー!」「もっと濡らしてー!」などとほとんどトランス状態だった。
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