短編

□君だから分かるんです
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「名無しさん〜!だぁーれだっ、うん!!」

「うわっ!!」

後からいきなり目を手で隠され、少しバランスを崩しかけたけど何とか足を踏ん張らせバランス保った。

「何、デイダラ?」

私は、だぁーれだっと言った本人を考えなくたって分かる。
だから、すぐに彼の名を言った。

「ちぇ、何ですぐに分かったんだよ。うん?」

つまらなそうに舌打ちするとデイダラは私の目から手を退け抱きしめられた。

「アハハ、だって語尾に『うん』なんて言うのはデイダラ、あんただけだもん。」

「あっ……」

デイダラに口癖を指摘すると気づいていなかったみたいで、マヌケな声がした。

「ぷっ……アハハ!デイダラ可愛い!!」

「うっ、五月蝿いぞ!うん!!」

多分真っ赤になっているであろう、彼の顔を見るため顔を横に向けると案の定、顔を真っ赤にして振り向く私に驚いたのか目を真ん丸に開いて恥ずかしそうに目を反らす。

「でもね、私デイダラの口癖が無くても、すぐにデイダラだって当てる自信があるよ!だって……」

ぐるりと回り、デイダラと向き合う形になって私は彼を見る

「だって……?」

デイダラもさっきまで視線を泳がせていたけど、私の次の言葉を聞くために目を合わせてくれた。

「私、デイダラの声、匂い、温もりが好きだから……だから、分かるんだよ」

デイダラの目を見つめ、そう言うと彼はまた目を見開いて、そして、ニカッと笑う。

「オイラだって、名無しさんのこと好きだぞ!うん!!」

「ちょ、痛いよ。デイダラ!!」

抱きしめる力を強められて苦しい。私はデイダラの背中をやや強めに叩いた。


「うん?あぁ、ごめんよ、名無しさん。オイラ、つい嬉しくて……」

デイダラは急いで私を腕から解放し、私の頬に手を添え、顔を近づける。

「なぁ、チューしてもいいか?」

唇がくっつきそうな距離で囁く。間近で見るデイダラはかっこよかったけど、キスを『チュー』って言う辺りが、とても可愛いかった。
私は首を縦に振ると瞼を閉じた。

「……ん。」

ちゅっと小さく唇を吸う音を合図に何度も何度も角度を変え吸い付くデイダラ。
私はキスに酔いしれながら幸福な気持ちになっていたが、ふと腹部に違和感を感じる。

「ちょ……ディ、ダラ……」

「ん?どうしたんだい、名無しさん」

キスをやめ、彼は私を見つめた。

「これは何?」

腹部の違和感の原因を掴み、問う。

「これはオイラ手だぞ!うん!!オイラの声、匂い、温もりが好きなんだろ?」

悪びれもなく服の中に掴まれていない手を探り入れてくる。

「え、あ、お、ちょ……待っ……!!」


「名無しさん……、可愛いぞ」

制止の声を無視し、どんどんデイダラの手が上に上がって行く。
段々頭が白くなって焦り出す。あたふたしているうちに下着越しに胸を掴まれ、私は何かが途切れた。









「待てって言ってるだろーが!!」

「ぶっ!?」


顔面パンチをお見舞いして私はデイダラから離れ走りさった。
デイダラに悪いと思ったけど、これは正当防衛だからゆるしてね。





End
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