短編

□撫子
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『サソリ、私、サソリが大好きですよ』

『寝言は寝て言え、小娘が』

『ちゃんと起きて言ってますよーだ!それから小娘じゃなくて名無しさんです!もうボケ始まっちゃったんですか?』

『くだらねェこと言ってねぇーで、さっさと任務行け』

俺がはぁ……とため息ついてコイツをシッシッと手で払うと、酷いと文句を言ってきやがった。
酷いとか、そんなもん知るか。
コイツがしつこく迫るから俺は、完全無視を心に決め無視する。
暫く何か言っていたが、ついに諦めたのか名無しさんの声が聞こえなくなった。
不思議に思った俺は振り返った。すると視界いっぱいに見えるアイツの顔。
『あっ!やっと振り向いた!』
『!!……さっさと任務行きやがれっ!!』
嬉しそうに言うコイツにすこしでも心配した俺が馬鹿だった。
何とも言えない自己嫌悪。
ムカついたから、コイツにクナイを投げた。
まぁ、コイツは逃げ足だけはトビ並に素早いからな。
『わっ!?あぶないじゃないですか!』
軽々と避けるアイツは角を曲がって行った。
はぁ……とため息をまた吐いてクナイを投げるのを止め自室に戻るため、足を進めた。

『さっきの告白の返事、帰って来たら教えてくださいね!』

角からひょっこり顔を覗かせ言うとまた、消えた。

『……くだらねェ』

返事は言わなくとも分かってんだろ?
フンと鼻で笑いアイツが帰って来たら何て言おうか、考えながら自室に戻った。








あれから一週間たった頃。
リーダーに呼ばれメンバー全員が集まった。

「おい、名無しさんはまだ来てねぇのかよ」

俺はいつまでも来ないアイツにイライラしながら言った。

「サソリの旦那、知らないのかい?……名無しさんは昨日木の葉の連中にやられて死んだぞ、うん」

「は?アイツが……?」

デイダラの言葉がいやにリピートする。
嘘だろ?だって、アイツ……
話し合いもろくに聞かず俺はひたすらデイダラの言葉をリピートさせていた。

「……な、旦那!」
「……」
「おい!旦那!!」
「!!」
肩を掴まれ意識を取り戻すとデイダラに呼ばれていた。
「あ?……んだよ」
一睨みするとデイダラは少し怯んだ。
「オイラ達も任務行くぞ……うん」
辺りを見れば他の奴らは既にいなくなってた。
「……分かった」
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