RAIN OF BLOOD
□壱 悲しみの夢
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「……なんで…なんでなの…っ?」
暗い部屋で、一人の少女が大粒の涙を流して泣いていた。
少女の顔はよく見えない。
彼女の周りには真っ赤な真っ赤な血の海があり、そこにはもう動くことのない人間がいくつも転がっている。
「…うぅ………みんなぁ……イヤだよ…独りにしないでよ…。ねぇ…目、開けてよッ!ねぇったら!」
動かない屍を揺すりながら泣き叫ぶ少女の前に音もなく人影が現れた。不意に現れた人影に驚いた少女は顔を上げる。
その人影の顔もやはりはっきりとは見えない。唯一、分かる事と言えば、その人影が背の高い男だということだけ。
「…なんで!?…ねぇ!なんで殺されたの?!…なんでお父さんとお母さん…友達みんな殺されたの?ねぇ!!」
少女は勢いよく男に掴みかかり怒鳴り散らした。しかし、男は何も答えずジッと少女を見下ろすだけだった。
「…うぅ……っ」
そして、少女はその場崩れ落ちまた嗚咽を噛み殺して泣き出した。
その時、不意に少女の頭の上に男の手がぎこちなく置かれた。
「…………?」
困ったように、少し戸惑ったような動きで自分の頭を撫でる手を不思議に思った少女が再び顔を上げると、男は「…すまない」と悲しげに呟いた。
その時、バチッと何かが弾ける音がして―――――
目が覚めた。
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