RAIN OF BLOOD

□参 君を思う
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(――…化けた原因はわかった。あとは泰人さんたちに知らせるだけ)


杏奈はぐるりと辺りを見回し、小さく唸り声を上げた。


(……だけど、どうやったらここから出れるんだろう…)


一度目は偶然入って、気が付くと出れていた。二度目は、行きは泰人に放り込まれ、入れた。
…なら帰りは?また気が付く出れるのか?

そもそも、帰り方があるのならあの人は教えてくれるのでは…?

嫌な考えが杏奈の頭を過り、彼女の表情はみるみる青ざめていく。


「どうしたのお姉ちゃん?」

「あ、あのさ伊織ちゃん…。…もしも、の話だけどね…ここから出る方法って…ある…?」


杏奈の質問に伊織はただキョトンとするだけだった。
その反応に杏奈はその場にガクーっと膝から崩れ落ちた。


「お姉ちゃん?」

「……うん、大丈夫。伊織ちゃんは悪くない。悪いのは全部何も考えてないあの人だから…うん。悪くない。悪くない…」


――…後で一発殴っておこう。………いや、やっぱり後が怖いからせめて一言言わせて貰おう…。


「泰人さんのアホーーッ!」



『人の悪口を言うときは相手にバレないように言うんだな』




「ぎゃあッ!出たぁー!?」


今、一番会いたくない人の声に杏奈は跳びはね、後ろを振り返った。が…


「……あれ?居ない…」

『……人を霊みたいな言い方するな』


しかし、声はする。杏奈のポケットの中から。
恐る恐るポケットに手を入れると、中から泰人に護身用として渡された札があった。表面には見たことのない漢字が書かれていて、その字は淡く光っていた。


「あ…これ」

『…あれー?繋がったんですか?』


札から聞き慣れた声がした。玖旺の声だ。


『…あぁ。珍しくな』

「あ!もしかして、これ無線機みたいなヤツですか?」


杏奈が札に話かけると、『まぁ……一応な』と泰人の返事が帰ってきた。


(……なんかすごい)


ちょっと感動した目で札を見ると、気まずそうな泰人の声が返ってきた。


『……だが、コイツはちょっと問題があってな……。参った事に、いつ通信が切れるか術者である俺にもわからん。今こうして繋がっているのも不思議なくらいだ』

(…うわぁ…すごい粗悪品……)


あの感動はなかった事でお願いします。





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