コードギアス:短編
□明日の、その先
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目深《まぶか》に被った帽子が顔を隠しているせいで、よく表情が分からない。だが声音から見ると、大変不機嫌のようにも思える。
「どうした、ルルーシュ。荷馬車の乗りすぎでとうとう尻が痛くなったか?」
「違うわ! お前の間の抜けたアクビが、俺の気力をごっそり奪い去ったんだ!」
「くしゃみと同じく、アクビも生理現象だからな。許せ、ルルー……ふわぁ」
アクビの条件反射で流れた涙を指でぬぐい取り、またも同じ行為を繰り返す女。
「……眠いな。少し寝てもいいか?」
「……勝手にしろ」
「そうか。じゃあ遠慮なく。話し相手がいなくて寂しくなるかもしれないが、ちゃんと我慢しろよ?」
「寂しくなんか――」
怒鳴る前に聞こえてきた、頭上からの寝息。
「寝付きがいいに越した事はないが、いくら何でも早すぎだろ。……はあ」
男はもう、溜め息をつくしかなかった。