コードギアス:短編
□衣替え
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「……」
「……」
沈黙、沈黙、沈黙。
部屋には白けた空気が流れ、ルルーシュは気まずそうにベッドへ歩み寄る。その手に持っているのはティッシュケース。C.C.は数秒間だけ戸惑う素振りを見せたものの、それは彼の厚意だと受け取る事にしたようで、ティッシュを何枚かを抜き取って鼻をかんだ。
「……悪かったな、ルルーシュ。あれは私の八つ当たりだから、気にするな」
「いや……」
赤くなった鼻を隠そうともせず、伏せ目がちに紡がれた言《げん》に目を見開くルルーシュ。だがそれも一瞬の事で、次の瞬間には苦笑を刻んでいた。
「C.C.」
「? ……何だ?」
ゆっくりと自然な動作でベッドの端に腰掛けるルルーシュに、C.C.は怪訝な目を向けた。それを知っていても尚、彼は苦々しい笑みを更に濃くする。
「……今更だが、我ながらあの反応は冷たかったと思う。俺こそすまなかった」
「は……」
普段から大きいと感じさせる目が、目一杯に開かれる。それを見たルルーシュは、綺麗だと心の中で賞賛した(心の中で、と言うのが何とも彼らしい)。