コードギアス:短編
□目を逸らさずに
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伸ばされた手がふわふわと宙をさまようのも束《つか》の間、やがて力尽きたように投げ出す。ぼすっ、と跳ね返る音と共にベッドからはみ出る腕。
ソレと同時に、部屋に入ってきた人物がいた。
「――おい、ルルーシュ。風邪薬を買ってきたぞ」
「ん……、C.C.……?」
「ああ、そうだ」
弱々しい声で名前を呼ばれた彼女は苦笑を零す。無理もないだろう。今の彼と彼女が知る普段の彼は、天と地のようにかけ離れているのだから。
「げほっ……あり、がとう……C.C.……」
「気にするな。私とお前の仲だろう、ルルーシュ?」
「ああ……そうだな……」
「それに、お前に死なれたらこれからの生計が困るからな」
「ふっ……勝手に、殺すなよ……」
それはどうだろうか、とC.C.は心中で呟いた。
頬を林檎のように赤く染め、息も絶え絶えな様子の彼は今にも死にそうに見える。また、苦しげに顔を歪めて咳をするものだから、見ているこちらからするとどこかの大病人のようにも見えるのだ。