コードギアス:短編
□目を逸らさずに
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彼の風邪が発覚したのは今朝の事である。差し込む朝日に起こされたC.C.を待っていたのは、ソファーの上で丸まって、咳き込みながら震えていたルルーシュだった。当初は今よりも酷い状態で、己の肩を抱き締めてぶつぶつと譫言《うわごと》を繰り返していたのだ。
さすがのC.C.もこれには知らん顔出来るはずなく、素直にベッドを差し出すしかなかった。
「体調はどうだ」
「悪い……。世界が回っているような感覚になる」
「それが風邪というものさ」
手に持っていたお盆をサイドテーブルに乗せ、ルルーシュの前髪をかき上げたC.C.は、自然な動作で彼の額に手を滑り込ませた。
「ん……まだ熱いな」
「C.C.、手が冷たいぞ……。冷え性か……?」
「お前の頭が熱いんだよ……」
(これは重症だな……)
ふう、とC.C.は悩ましげに溜め息をつく。それは疲れなのか、諦めなのか、嘆きなのか。どうにも判断が付けにくい。