Y×G
□写す
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山本がゲーセンへ行こうと言った。
そんな目新しいゲームあったか?と思いながら付き合うと、よりにもよって女共やいちゃいちゃしてる奴等のいるコーナーへ近付いて行った。
おいおい、まさか山本…まさかコレじゃねぇよな?
心の中で呟く。
オレは場所に圧倒されて声が出せない。
だが間違いじゃないらしい。
山本は数多くある機械の中で、唯一空いてるものの前に立った。
「なんかな、この機械、少し古いやつらしくて人気ねーみたいなのな」
や、オレが今聞きたいのはそんなこっちゃない。
「いや、待て山本」
「うん?」
なんでゲーセンきてコレなんだ?」
「え?だってゲーセンにしかなくね?」
いや、違う。
ドコに機械置いてるかの議論じゃねぇっつの。
「じゃねーよ。なんでコレやろうと思ってんだって言ってんだよ」
「え、だって、二人で写ってんの欲しいし俺。」
二人で、という響きになんともいえないくすぐったい気持ちになった。
確かに山本はケイタイを持ってないから、画像を見るとかはできない。
カメラを持ち歩くような奴でもないし。
一緒にいない時だって獄寺の顔みたいもん、と言いながら山本はピンクで彩られているカーテンをくぐる。
…と同時にオレは腕をひかれる。
「ちょっ!お前っ…」
連れ込まれたのは小さな白い空間。
目の前に大きなレンズ。
今どきのカラフルな壁さえありゃしない。
いたってシンプル。
落書きのペンさえない。
だけどだ。
男二人でなくね?と思いながら、キョロキョロしてると、金を投入口に入れる音
がした。
「え!マジかよ!マジで撮んのか?!」
「え?マジだから入ったのな」
とにっこりされる。
何がそんなに楽しいんだお前。
男二人で入ってニコニコするトコじゃねーだろコレ。
・・よりにもよって・・・
「・・コレじゃなくてもよ・・駅前の証明写真とかあったんじゃねーか。あれだって同じ写真じゃねーかよ」
「あれは高いのな。それに証明写真に二人入るほうがおかしくねぇか?」
「・・・まぁそう言われりゃそうだけどよ・・・」
だが、ここよりはマシな気がする。
どこみても女。(カップルもいるから男がいないわけじゃないが)
男二人への視線痛くねぇか?
気にし過ぎなのか?