夏の巻

□十四章 掛川 秋葉山遠景
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その連絡を受けたのは、6歳の春。
親戚の商家に奉公兼一人息子の遊び相手に来ていた彼には、驚くよりも訳が分らないという感情が強かった。

ついこの間まで、生きていたたった1人の兄。
その兄が、死んだという。
理由は同じ村に住む兄と同い年の少年に殺されたらしい。
自分も知っている、すこし変わった少年だ。

跡取りが居なくなった為に、彼は村に帰されるはずだった。
しかしそうなることは、ついになかった。

夏までに、村そのものが無くなった。
村内で、流行病が広がったのだ。
父も母も死んだ。

大好きだった父。
優しかった母。
自慢だった兄。
皆死んだ。
もう会えない。

兄を殺した少年は、兄を殺した直後に姿をくらましたため、どうなったかは分からない。
死んだという話は聞かない。
今もどこかで生きているかもしれない。

時を経て、彼の中で兄を殺した者への憎しみが膨らんでいった。
いつか必ず見つけ出す。
そしてこの手で復讐してやる、と。



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