春の巻
□三章 川崎 六郷渡舟
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さてさて、こちらは村時雨達4人。
何故か彼らは、東に向かって進んでいた。
「あーもう、村時雨様は……」
文句を言うのは、恭一。
「ごめんって。私もうっかりしてたよ」
そう言う村時雨の手には、いつもの鉄扇が無かった。
理由は簡単。宿に忘れてきたのだ。
「今夜は良い酒買ってきてください。それでチャラです」
「あ〜、恭一のくせに生意気〜」
「あんたはジャイ○ンか!!」
恭一がそう叫んだとき、何処からか地鳴りのような音がした。
「何だ!?」
若は剣に手をかけた。
「恭一の怒りが太平洋プレートに伝わり、マントルを活性化させ、休火山を目覚めさせ、東海大地震を起こしたか!?」
「村時雨様、何のことか分け分かんないし、俺の怒りはそんなのに働きかけてないし、ボケれるってことは余裕って事ですか?」
そう言ってる間にも、音は近付いてきた。
音は、東から聞こえた。
4人が東の方を見ると、何かがこちらに向かってきていた。
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