神曲奏界ポリフォニカ〜手にした力の行方〜

□序章
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精霊
『人間の善き隣人』、『知性ある何か』
この世界―――ポリフォニカ大陸では多くの場合に、精霊はこのように呼ばれている
人間より遥かに長い寿命を持ち、強大な力を持つ彼等は本来人間と関わりを持たず、まるで空気のように、物質的な肉体を持たず、ただそこに在るだけのものだった

たがいつからか、彼等は自我境界の面を形成し、物質的な肉体を造り上げる術を覚え、人間の前に生物として姿を現した

長い年月の中で、人間と精霊の仲は平和だけで成り立っていたわけではない、しかし、多くの精霊は興味という意味で人間に友好的で、中には人間のように暮らす精霊も少なくはない

でも、人間と精霊は違う存在だ、精霊を嫌う人間や人間を嫌う精霊も少なからずいる
さて、もし精霊と人間が争ったらどちらが滅びるか、考えるまでもなく人間が滅びる、前にも言ったが精霊の力は人間にとって圧倒的だ

だからこそ、精霊と人間の関係の中核となる者達が必要となり、それを担う者達が現れた

それは―――神曲楽士だ。

神曲楽士
精霊にとって食料とも酒とも麻薬とも言われる楽曲―――神曲を奏でる者達、彼等によって人間と精霊との間は埋められた

神曲は時には労働の対価となり。時には好意の証明にもともなる

特異な才能の持ち主たる神曲楽士が奏でるその音楽は、精霊達を喜ばせ、異なる二つの存在が寄り添って生きていくには欠かせない物となった



強大な力を持つ精霊、さらにそれを従える神曲楽士という職業は、しばしば多大な畏敬の念を以て語られる。

もう一度言うが精霊の力は強大だ、もし神曲で精霊を操り悪用すればそ、れは脅威以外の何者でもない

だからこそ、神曲の行使は法律や制度により厳しく律され、専門職として保護策が講じられている。


トルバス神曲学院、ポリフォニカ大陸の中でも屈指の実績を誇る、神曲楽士を育成するための専門学校の一つだ
その門は狭いと思いきや解放的で、毎年多くの入学者がいるが、卒業生は恐ろしいほどに少ない

それだけ神曲楽士の道は険しいのだ

そしてこれからは、そんな学院に在学する生徒の一人の話をしよう


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