神曲奏界ポリフォニカ〜手にした力の行方〜

□第一章
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神曲楽士を目指す者達が集う学院、トルバス神曲学院
その門は広く基本条件は『十三歳以上』だけで上限は無かったりする
と言っても大人がわざわざ子供達の中に入るなんて事は殆んどない
あるとしたらその人が周りを一切気にしないタイプか、何か周りなど気にならないほどの信念を持っているかだ

さて、ここまでならトルバスを攻略するのは簡単そうに見えるが、広い門に対して厳しく、狭い道がトルバスにはある
その結果、卒業生が入学生に比べて少なすぎてしまったりしてしまうのだ。

大きな要因の一つに、基本課程から専門課程にあがる進級試験、この試験で大半の生徒は落ちていく

その試験内容は単純明解、ゆえに合否がはっきりするし、難しい

それは―――

「サイキ・レンバルト―――合格」

「よしっ!!」

教師がノートに何かを書いているのを見ながら、金髪の青年が周りに小さな光をいくつも漂わせながらガッツポーズとる

「ごうかく?」 「ごうかく?」 「よし?」

青年に光が反応し次々と声をあげる

「ありがとうな」

「ありがとう?」 「ありがとう」 「どういたしまして?」

この光達の正体、それは『知性ある何か』であり『人間の善き隣人』、つまりは精霊である

―――神曲によって精霊を呼び出すこと、それが試験に合格する唯一の事であり必須条件だ

「次、シキ・サラサ」

「―――はい」

凛とした声と共に美しい黒髪が宙を舞う。

静かに演奏する場所に立ち、精神(こころ)を落ち着かせる。

そして、流れるように『単身楽団(ワンマンオーケストラ)』を展開して自身が操る楽器を手にとる。

楽器はフルート。

すぅと息を吸い込み、準備万端。

周りの生徒達や教師が見守るなか、演奏が始まる。


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