頂き物

□白石 甘
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「くららー。」

「阿呆、誰がクララやねんっ!」

「化学の宿題見せてー。」



れほなはそう言うと同時に白石がロッカーから出したばかりの化学のノートを取り上げ、頁を勝手にめくり始めた。
その様子を白石は苦笑しながら小さな溜め息を一つ吐いて見ていた。
白石の化学のノートを横に、れほなは自分の机に自分のノートを広げてそれを映し始めた。
そんなれほなの隣の席に勝手に座り、頬杖をついて見ている白石。
朝の登校時間30分も前という事で、未だ教室内にはれほなと白石しか居なかった。
二人は幼なじみという事で、揃って登校してくるのだ。
電気を付けていない薄暗い教室で、白石は不意に口を開いた。



「なあ、れほな?」

「学校では名前で呼ばんといて。」

「すまん。で、嘉藤。」

「何?」

「そないな宿題人に見せてもろてたら自分の力にならへんで。」

「ええのん!ウチはやれば出来る子やから!」

「意味分からんわ。」



そう言って、また苦笑してれほなを見る白石。
そんな視線も気にする様もなく、れほなは黙々とノートに白石の答えを丸写しする。
白石は、只黙って、頬杖をつきながられほなをじっと見ていた。
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