Novel.†GundamOO†

□愛しい恋人
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ナンデ?
約束シタノニ。
独リニシナイッテ。
約束シタノニ。
君ハ何処二イルノ?
君ハ何処二行ッタノ?
ネェ、聞コエテイルンデショ?
答エテヨ。
愛シイ恋人。


世界に忘れ去られた様に、小高い丘がある。進化していく世界から孤立してしまったように。
そんな小高い丘に一つ、真新しい墓がある。
そこには、
『ロックオン・ストラトス』
と、彫られている。
その墓の前に、一人の青年が佇んでいた。花も持たずに。
ただ墓を眺め、呟く。
「貴様から約束したのに…自分から一方的に破るなんて……ズル過ぎるぞ」

あの日、あの男が勝手にした約束。
絶対に破らないと、あの綺麗な瞳に見つめられながら言われたら、頷くほかなかった。


『もし俺が居なくなったらどうする?』
『へ?』
あの日、何となく聞いてみた。
なんと答えるのだろう?
そう思いながら、答えを待つ。
『ティエリアが居ない世界か……ん〜わかんねぇ』
そう言って笑う男を見て溜め息をつく。
『貴様…いつ死に別れてもおかしくないんだぞ?』
『そうだな……ティエリアは独りは嫌か?』
いきなりなんだ?と思いながら、さらりと答える。
『嫌ではないが好きでもない』
『そうか、ティエリアらしい』
そう笑って言葉を返す男を見て、ふと、
俺はこの男が居なくなったらどうなるのだろう?
そんな思いがよぎった。
『…分からないな』
『ん?』
『貴様が居なくなったら俺もどうするか、何をするか、分からない。もしかしたら忘れてしまうかも知れないな』
軽い冗談のつもりだった。だが、男は本気と思ったらしく、真面目な顔で
『…それは酷過ぎるぞ』
俺が
『何故?』
と問うと、
『だって俺は独りは嫌だ。忘れられるなんて、独りと同じだら…だから嫌だ』
俺はそんな事思ったこともなかったので、少し驚いた。それと同時に、嬉しかった。男の考えている事が、思っている事が少しでもわかって嬉しかった。
『…冗談だ』
『……本気だと思っちまった』
そう苦笑する男を見て、俺も少し笑みを浮かべる。
『でも…』
『でも?』
『忘れられるのは…怖い…なぁ、ティエリア。約束してくれ。俺はいつまでもお前の側に居るから。お前も俺を忘れないでくれ。絶対に破らないから…』
いつもなら、嫌だ。と、断っていただろうに。
あんな綺麗な瞳で見つめられたら……
断れるはずがない。


「ロックオン、貴様の事は忘れない。…だが、この胸の痛みはどうすればいい?……帰って来てくれ、ロックオン…」
いつの間にか、雨が降ってきていた。
頬を伝って落ちていく雫。涙とは知りつつも、それを認めたくない自分がいて雨だと、そう思い込ませる。じゃないと…胸の痛みで自分が壊れてしまいそうだから。
ロックオンが…
ロックオン・ストラトスがこの世から消えてしまったということを、まだ知りたくないから。



愛シイ恋人…
君ハ何処二イルノ?
僕ハワ君ガ居ナイト狂ッテシマウ。
オネガイ。
帰ッテキテ。
約束ヲ守ッテヨ。

独リハコワイ。
独リニシナイデ。
愛シイ恋人。
ロックオン…



end

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