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□熟華想 1
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彼の隣りは、心地が良かった。
とても。
私の中の、恋心を、
我が儘を。
育てるのには十分なくらい。
心地が良かった。
今でも目がくらむ。
彼に触れられると、あの夜を鮮明に思い出して、身体中の血液が逆流するような、そんな感覚に陥って。
「情けないな…」
未だ小刻みに震える右手を、左手で庇う様に抑え込む。
なんで、気づかなかったんだろう。
なんで、気付けなかったんだろう。
私に、今までの生活を壊すほどのリスクを背負う覚悟なんか、出来てなかったのに。