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□熟華想 2
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「…勝手にうろちょろされたら迷惑だって言いたいの?」

「そうは申しておりません。ですが、いざという時行き先を知らない、では済まされないんです」

「私が、ファントムハイヴの人間だから?」

「…よくお分かりで」


にっこりと微笑んだその表情と裏腹に、指先に力が込められる。

「イっ…」


反射的にビクッと揺れた肩。
それを見て、面白そうに弧を描いて歪む唇。


全部。全部、全部。

貴方が毎日綺麗に磨き上げた窓硝子に映ってるって。分かっててやってるんでしょう?



「人間は、か弱く脆い」

「…へ?今なんて…」

「いえ、何も?」

「…セバスチャン、」

「お嬢様、顔色も優れないようですし、本日の外出はまたの機会にされては如何ですか?」

「セバスチャンは…自分の思い通りに動く操り人形みたいな子が好きなの?」

「…本当に、いきなりどうされたんですか?」


クスリ、と笑われた途端に顔に熱が集中する。

また、やってしまった。




ままごとに今は付き合ってる暇はないんです、



そう、動いた気がした。窓硝子に映った、整った赤色が。



気を引きたいが為?

とっさに否定の言葉も見つからなくて。


(あぁ、なんだ。私ってばそうゆうこと…)





「…離して」

「これは、失礼致しました」

「もう今日は休むわ。夕飯、いらないから」

「かしこまりました。ではお部屋まで…」

「いい、大丈夫」



絶対、自意識過剰だと思われた。







もう、嫌だ。











執事をちらつかせるのは、私へ線を引いてる証。








だったらなんで。





なんで、





部屋へ戻ると、胸元へ指を這わせる。
触れた部分が、ジン、と熱を持って疼き出す。




なんで、


「痕なんか残したの…」




 

 
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