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『買い物いこうよ!』

このひとことで僕達の運命が狂い始めた。




『買い物?どうしたの急に』

雪兎は優羽に雑誌を渡すと戸締まりをし始める。まだ誰も行くなんて言っていないが本人は行く気満々だ。

『実はボクこの帽子欲しいんだよね!』

この黒い帽子だよと右下の写真を指さす彼は楽しみだと財布と携帯電話をポケットへとつっこむ。
準備はできた、さあ行こう!と笑顔の弟に強引だなあと思いながらも兄は頷いた。

『わかった。行こうか』

優羽は伊達メガネを掛けてから財布をポケットに入れる。

『何でメガネ?』

いつもはかけないじゃんと雪兎は鏡を見ながら黒いカラコンを入れる。

『僕達兄弟は顔が似てるだろ?だからメガネかけることにしたの』

『ふーん?』

(メガネをかけた優羽もイケる、てかむしろ色気増した!どうしようめちゃくちゃカッコイイよ!さすがボクの優羽!)

えへへと笑う雪兎は内心かなり興奮気味だ。さすが極度のブラコンと言うべきか。

その後雪兎は優羽の手を引き街へと向かった。





『これこれ!』

ブティックでお目当ての帽子を手に取る雪兎の機嫌はすこぶる良かった。

そんな彼に優羽はカードを渡し買ってくるように言い店の外へと出る。

(久し振りだな…こーゆーの)

日本に来るまでは毎日マフィアの仕事ばかりをしていたふたりにとってはのんびりと過ごすこの時間はかなり貴重だ。しかし日本にいる間は今までよりも時間をとることができる。
あたたかい日差しと雪兎の嬉しそうな笑顔を思い出し優羽の頬が緩んだ。

「…雪兎君?」

弟の名前を呼ばれふと振り向けばそこには沢田綱吉、ボンゴレ10代目候補がいた。

「なんでメガネかけてんだおまえ?」

「雪兎も来てたんだな」

隣には獄寺隼人もいる。もちろん山本武の姿もあった。
優羽を雪兎だと思い込んでいる3人に優羽は話を合わせようと愛想笑いを浮かべる。

『ほら、ボクこの方が頭よく見えるでしょ?ここにはちょっと欲しいものがあって『優羽おまたせ!』

……あれ?

「「「雪兎がふたり!!?」」」

『…最悪』




タイミングの悪さに優羽は片手で頭をおさえて目をふせた。
沢田と獄寺は焦ったように優羽と雪兎の顔を交互に見る。

山本は「すげーのな!双子みたいにそっくりだ」と感心したように笑っていた。

これはもう下手に誤魔化せないと思った優羽と雪兎は溜め息をついて顔を見合わせた。

『ふう…折角だ。場所を変えようか』

3人と2人。彼らは喫茶店へと入ることにした。


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