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【in黒曜中】
『…はあ』
「おや、貴方が溜め息なんて珍しい」
教室で僕が溜め息をついているといつの間にか骸が目の前にいた。サラサラと揺れる長い前髪は両サイドにわけてあり昔から変わらない。強いて変わったと言えば右の眼の色、そして何かを企むそのいやらしい顔だ。
『日本に来てなんか疲れちゃった』
しばらく接触する気ではなかったボンゴレの候補達、そしてアルコバレーノリボーン。彼に目をつけられた時点で計画が狂ってしまった。
素人と赤ん坊が相手だからとなめていたことが敗因だ。
そんなに僕の困った顔が気に入ったのか骸は笑顔だ。月日のイタズラか、どうやら性格もずいぶんと捻じ曲がってしまっているようだ。
「クフフ…アルコバレーノ達に君の存在が知られたそうじゃないですか」
どこで手に入れた情報なのだろうか。しかしそれなら話が早い。
『だったら気休めでも慰めるぐらいしてくれないかい?バレるの早すぎでどう対処したらいいかわからないんだけど』
「クハハハ!滑稽だ、哀れですね」
『僕は骸の髪型が哀れで滑稽だと思うよ』
骸は「喧嘩売ってますか?」と僕の頭を軽く叩く。
僕は買っておいたパンを取り出し骸に投げつけるが彼はひょいと避ける。
『怒んなよ、とても君にはお似合いだよ』
「骸さーん!いますかー?」
ふと声が聞こえたと思うとそこには金髪の少年がいた。舌をだらしなく出し髪を複数のピンでとめている。彼は僕の姿を視界に捉えると目を見開いた。
「優羽!?優羽なんれすか…!!?」
『久し振りだね犬』
犬は僕に走り寄ってきて僕に抱きついてきた。勢いに負け体が少し倒れそうになるが持ちこたえる。
『千種も元気かい?』
「柿ピーも元気だびょん!」
千種も元気か、それはよかった。そう笑えば優羽も元気そうでよかったれす!と呂律が回らないまま無邪気に再会を喜ぶ。
骸もいつも通りの笑みを浮かべ僕たちを見ていた。
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