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『ねぇ、遊ぶってなに?』

僕の一言に彼は溜め息をついた。

「ホントに君は何も知らないんだね」



僕はそのあと色々な遊びを教わった。
サッカーに鬼ごっこ、すべり台やブランコ。
どれも初めてで雪兎ともやったことのないものばかりだ。

『…疲れた』

「それにしては楽しそうだったけどね」

『君だって楽しんでたじゃんか。僕が転んだとき笑ってた…』

「だって泣きそうだったし」

『…うるさい』

僕達はお互いに笑いあう。楽しい楽しい時間をかみしめるように僕は声を上げて笑う。

「これ何だと思う?」

彼が取り出したのは何かの機械。
レンズがついていた。

『…カメラ』

「そうだよ。撮る?」

『撮る!!』

僕らは並んで写真を一枚とった。
インスタントカメラから音をたて出てきたのは夕陽を背景に笑う彼と傷だらけの無愛想な僕。

「これあげるよ」

彼から渡されたのはペンダントだった。
そこには小さく写真を入れられるスペースがある。

『ありがとう…!』

素直に受け取りそれ上手く写真を切り抜いてペンダントに入れた。

「御守りだよ、それと君が僕のものって言うしるし」

『僕が…君のもの?』

「いやなの?」

彼は悲しそうに言った。僕はそれを直ぐに否定し『僕は君のものだよ』と告げる。
すると嬉しそうに彼は笑い僕を抱きしめた。
その言葉がどんな意味をもっていたのかよくわからないが、彼が笑うならそれでいいと思う。

「僕が君を護る。ずっと一緒にいられるように」

『本当にずっと一緒にいてくれるの?』

「約束する」

『うん、約束だよ』

すこし頬を赤らめ照れ笑いする彼と、ひとりではなくなるという孤独からの脱出に成功し喜ぶ僕。


しかし…そんな幸せな時間は終わりを告げた。

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