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「次はツナだぞ」

「ええー!?」

勝敗はもうつきそうだ。獄寺も山本も簡単に膝をついてしまった、力の差は歴然だ。
死ぬ気弾を撃たれた沢田は雲雀に向かって走って行くが、その手に握られている武器はレオンが変形したはたき。そんなものでどう勝負しようと言うのか。

「し…しぶい!」

『ダ…ダサイ!』

「あ"?」

『別に』

感動する意味がわからない、感激ですと声援を送る獄寺の横で雪兎はなんの茶番だとため息を吐いた。

『……』

『「「(でも無言の優羽が怖い…)」」』

待たされる側の3人はピクリとも動こうとしない優羽を恐れながらも勝敗を見守る。
沢田ははたきで向かっていくが雲雀はそれを易々と受け止める。

「うおお!!」

「君は変わってるね、強かったり弱かったりよくわからないから…殺してしまおう」

『おまえほんとに風紀委員か!』

ツッコミも虚しくトンファーの空を切る音に消されていく。

「互角だ…!さすが10代目!」

『雲雀の方がまだまだ上手だけどね…ってゆーかお願いだから何か喋って優羽!』

『…勝負付いたね』

『やっと喋ったっ!!って…あれ』

そこには膝をついた雲雀、そして何が起こったのかわからないと立ちすくむ沢田の姿。
目を離していた雪兎は説明を求めるようにリボーンを見る。

「奴の仕業だぞ」

リボーンが指さした方にはさきほど雲雀に殴られていたDr.シャマルがいた。


「おーいて、ハンサムフェイスにキズがついたらどーしてくれんだい」

『ハッ?ヘンタイヒゲやろーのクセに。お前なんか地獄へいけ地獄へ帰れよ』

「まだ怨んでるんだ…」

リボーンによるとシャマルは殴られた瞬間トライデント・モスキートを雲雀に発動していたらしい。
ちなみに雲雀にかけた病気は「桜クラ病」だとご丁寧にも聞いてないことまで喋る。
すると雲雀はふらっと立ち上がった。

「約束は約束だ。せいぜい桜を楽しむがいいさ」

捨て台詞かよ先輩。…ふらつきながら去る背中に雪兎は苦笑する。
刹那優羽はハッと顔を上げた。

『どったの?』

『悪いね、用事できた』

優羽は軽く頭を下げ雲雀の歩いて行った方へと駆け出す。最後にシャマルに殺気を向けて。

「…ッ!…あのガキまさか…!?…ってまさかな」

シャマルは昔どこかで会った二人組のマフィアを思い出していた。しかしこんなところにいるわけがないのだ、それに子供なわけがない。首を振っていつも通りヘラッとした顔をしていた。

「…しゃーねーな、花見始めっぞ」

リボーンの言葉に皆が頷いた。







『やあ、雲雀君』

「!…優羽」


雲雀に追いついた優羽は雲雀に肩をかした。

「花見は?」

『僕は人が多いところは苦手でね。御一緒していいかな?』

「…歓迎するよ」

『あと…感謝してる。庇ってくれてありがとう』

「!」

この時雲雀は昔のことを思い出していた。自分が探している彼の笑顔が思い浮かぶ。

そう言えば何故あの時優羽を庇ったのだろうか。それは自分にもわからなかった。

確かに優羽に若干惹かれ始めた自分がいるが…勿論戦闘能力、情報がないことに興味を持っただけのはずだった。

それに彼のことが忘れられないし忘れるわけがない。なのに必死になっている自分がいる。

雲雀の心とは裏腹に桜の花びらが風にのって晴れた空に舞い上がる。
ふたりで見たそれを生涯忘れることはないだろう。雲雀は確かにそう思った。

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