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10代目の右腕はオレだ。
でも最近野球バカと同じぐらいでしゃばってる奴がいる。そいつは一般人のはず…だ。
しかしリボーンさんはあいつは、雪兎はマフィアだとボソッと言っていたのを覚えている。
と言うことはもしかしたらオレのことは少なからず知られているんじゃねーのかと思う。これでも結構有名だと自負しているからだ。
怪しい。
だからオレは警戒を解かず10代目から目を離さないようにしているんだ。
『やぁ獄寺君』
振り向くとそこにはあいつと瓜二つの優羽がいた。
年は知らない。聞いても答えなかったがひとつ上の学年だとあいつが言っていた。
年上は嫌いだ。しかし奴はオレを見下した目では見ていない、だが時々映っていないんじゃないかと思うほど遠い目をしている。
変な奴だと思った。でもそう思ってもその容姿が目立ち気にしていなくても目に映る。
この世界にあれほど整った顔がいったいどのくらいいるのだろうか。
頭もいいらしく、リボーンさん曰くオレよりもそうとうのキレものらしい。
認めたくねぇ。
「…ちっ」
軽く舌打ちをしてやると優羽は微笑みを崩すことなく『元気そうだね』と言った。
「なんのようだ?」
ハッキリ言ってコイツは要注意人物だ。その弟がマフィアなのであれば兄もマフィアかもしれない。
可能性は低くはない、むしろ高いだろうな。
『困りましたね…とくにこれといった用事はないな』
「あ"?なんだそれ」
二コリと笑うこいつの顔はやはり綺麗だ。男のオレでもそう思う。
『雪兎が言ってたよ、獄寺君の沢田君に対する忠誠心は誰よりも素晴らしいものだってね、沢田君もいい部下をもったものだよね』
「当り前だ、右腕だからな」
雪兎がそんなことを言っていたなんて意外だ。あいつはいつも一言多いからな。
でもオレだって認めていないわけではない。ただ信用するまでに謎が多すぎるんだ。
もちろん目の前にいる優羽も同じ。
『ふふ…恐いなぁ。警戒してます、近づかないでくださいって顔してる』
優羽は急に俯くと静かに呟いた。
『ある程度は警戒してくれないとつまんないけどね』
「!」
どうやら全部気づいていたようだ。しかし後半の言葉はどう解釈したらいい?
『でも大丈夫。君達には被害を加えないよ。もちろんボンゴレ10代目候補沢田綱吉にもね。僕達は暇潰しをしたいだけだからさ』
「なっ…!」
優羽からの言葉はどう考えてもマフィア関係ならではの繋がりの言葉。
候補だなんて誰が言った、リボーンさんか?否あの人がわざわざ候補などと言うわけがない。
ちっ…暇潰しってなんなんだよ!
とりあえず手を出さないと言われたことは分かった。だが奴らの目的がわからない以上ヘタな行動はとれない。
リボーンさんに相談したほうがいいな…。
「10代目に手ぇだしたら何が何でも果たすからな!」
『だから10代目に手は出さないって。キミ聞いてた?』
でも…少し優羽に近づいた気がした。
オレはどこかで喜んでいる自分を抑え込み優羽を睨んでその場を後にする。
いつか、誰よりも先に正体を暴いてやる。
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