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オレの名は沢田綱吉、通称ダメツナだ。

オレの周りでは最近嫌なことばかりで事件も起こる。リボーンが来てから毎日が地獄…というわけでもないが幸福か不幸かっていったら間違いなく不幸だ。
でもそれをきっかけとして増えたものがあった。それは友達。

その中でも今日はある人の話ををしようと思う。

突如として季節外れにやってきた珀槻雪兎。
彼はいつも元気で素直だ。嫌なことがあればすぐに顔に出すしその反対もまたしかり。


『沢田〜?沢田!沢田ちゃん聞いてます?あ、耳遠いのか』


そしてウザく感じる今日この頃。


「うるさいよ」

『お前さー、ボクの時だけ恐い顔するよね。冗談とかじゃなくて本音っていうか』

いつものオレからは考えられない裏のオレが雪兎君の前だけ姿を表す気がする。
良くわかんないけど雪兎君の前だけっていうのが余計に複雑な気持ちになる。

「気にしないでいいよ」

『気にするよ絶対気にする。沢田のパンツ一丁め!!だから警察に捕まるんだ』

「け、警察に捕まってないから!あと今服着てるから誤解を招くようなこといわないでよ!」

これでも最近砕けてきたと思う。最初はもっと境界線みたいな壁があるような感じがしたけど今では殆ど気にならない。

でもオレは一度も雪兎君からツナって呼ばれたことがない。気がついたらいつも沢田って呼ばれていた。
みんなも名字で呼ばれてるけどやっぱりそろそろ名前で呼んで欲しかったりする。


『危ない!』

「え?」

その瞬間視界がぶれたと思ったらオレは雪兎君に押し倒されていた。

床には…野球ボールが転がっていた。

「わりぃ!ツナ雪兎大丈夫か!?」

走って来たのは山本だった。どうやら野球のトレーニングをしていたらしくジャージ姿だ。
てかどんだけボール飛ぶんだよ。ここからけっこう離れたとこにいたよね山本。

『…気ーつけろよあぶねーだろが』

雪兎君はそう言って立ち上がる。何だか珍しく怒っているようだった。いつもなら笑って冗談のひとつやふたつ言うんだけど真面目な顔をしていた。
すると目の前に手が差し出される。

『何してんだよ?ほら』

ハッとして顔を上げると雪兎君に手を引かれ立ち上がらされた。山本は申し訳なさそうに頭を下げる。

「あっありがとう雪兎君」

「悪かったなツナ雪兎!」

パンっと手を合わせもう一度頭を下げる山本にチョップがくだった。

『ど阿呆、お前の豪速球直撃してたら打ち所が悪くて病院行き確実だっつーの!ツナが死ぬぞコノヤロー』

「アハハハ!ドンマイ!」

『ドンマイとかそーゆーレベル!?』

「まーいいじゃねぇか?助かったんだし」

『ボクに感謝しろよ愚民共が』

いつの間にか話は山本のマイペースにのせられ笑い話となっていた。
てか愚民共ってオレ入ってんの?
なんか素直に感謝したオレバカみたいじゃん。


って、ちょっとまてよ…?



「雪兎君ってさっき何て言った!?」

『ボクに感謝しろよ愚民共が?』

「違う!もっと前!」

山本と雪兎君はうーんと悩みはじめる。そして山本は笑いながら呟いた。

「ど阿呆、お前の豪速球直撃してたら打ち所が悪くて病院行き確実だっつーの!ツナが死ぬぞコノヤロー」

『おおすげぇ、なんか気持ち悪いけどすげぇ』

「聞き捨てならないのな」

『さーせん』

山本が黒い笑顔の中オレは頭の中でリピートしていた。

病院行き確実だっつーの。ツナが死ぬぞコノヤロー。

ツナ死ぬぞコノヤロー…

死ぬぞコノヤロー…

コノヤロー…



ツナって言った!



『どーした沢田?頭ぶった?』

「さっきオレのことツナって言ったよね!?」

『あー…そんなこともあったなあ』

どうでもよさそうに空を見上げる雪兎君だがオレは違った。ただ嬉しかった。

「これからもツナって呼んでくれないかな…?」

『いいのか?でもボク的に綱吉がいいな』

「もちろん!!」

それでもオレは嬉しかった。自然に呼んでくれていたから、また一歩雪兎君に近づけたんだって思えた。







『山本もう一回言えたりする?』

「いつまで言わせる気か?犯すぜ」

『うっわ何このフラグ…何でボクの周りは黒い人ばっかなのイジメか』

知らず知らずのうち隠された裏の黒さを引き出すことができる雪兎君でした。

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