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『夏祭り?』
いつものように本を読んでいた優羽にチラシをみせる雪兎。
チラシを受け取った優羽は少し興味をもったのか目を通し始めた。
『なんか面白いことありそーじゃん』
そう言いながらも彼の視線はチラシにのった綿飴や林檎飴といった食べ物ばかりに注がれている。素直な奴だなと内心思いながらも兄は頷いた。
『そうだね…どうせなら骸達でも誘うかい?幻覚かければボンゴレに見つかったとしてもバレないだろうし』
優羽はにっこり笑うと早速骸達に連絡をとろうとしたが慌てたように雪兎が携帯を取り上げた。
その行動に少し驚いたのか優羽はキョトンと顔面蒼白になっている彼を見た。
『どうした』
『別に…』
明らかに動揺していてそわそわと落ち着かない。記憶を取り戻してからと言うもの骸の話になると彼は落ち着きがなくなる。
照れ隠しかと思ってもみたが挙動不審な態度に確信は持てなかった。正直怯えているようにも見えるのだ。
『骸が嫌いかい、それとも会うのが嫌なのかい?』
『違う!!イヤじゃない!!』
『じゃあ問題ないね、それ返してくれないかな』
『いや…その…』
しかし何を迷っているのか優羽の手元に携帯電話は戻ってこない。雪兎が骸達を嫌っていないことは確かだ。
現に優羽の問いかけを即否定してみせた。しかし雪兎は言葉を濁す。
しびれをきらした優羽は深くため息をつき、とられた携帯を無理やり奪い返した。
『いい加減にしたらどう?骸はけっこうキミの態度気にしてるみたいだったよ』
そのことに気づいていなかったのか驚いたように目を見開いた後雪兎は顔を歪め目を逸らす。これは少し長くなりそうだ、優羽はチラシとともに読み途中の本をテーブルへと置いた。
『…怖いんだ』
『怖い?』
少なからず予想していたことだった為かあまり顔に出さずにいられた不快感。今まで彼を恐れたことなど優羽には一度もなかった。
『ボクらはマフィアが大嫌いなくせにマフィアに成り下がって生きている。骸達はマフィアを憎んでる、だから嫌われるんじゃないかって、敵として…見られるんじゃないかって……』
震える手を見つめて頭を抱え込み今にも泣きだしそうな弱々しい姿を見せる雪兎に優羽は何も言えなかった。
雪兎が恐れていることは優羽も恐れていること。
真実を伝えたらどうなってしまうのか。もし骸達が受け入れてくれなかったとしたら、最悪な場合敵、命をお互いに削り合うかもしれない。
そして最も恐れていることは…
「裏切り者ですかね…」
ふたりの肩はビクッとあがり絶望的だと突如として現れた人物をみていた。
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