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【in並盛】
「けっこーやばかったな」
「獄寺君!!」
綱吉が駆けつけた商店街は他の人の姿は見えず、ダイナマイトが転がっていたり瓦礫が散乱していた。それがこの場所であったことを物語っている。
「10代目!!どうしてここに?」
傷だらけの体が痛々しい、目のやり場に困るものの綱吉は走って乱れた息を整える。
「いや、あの、獄寺君が黒曜中の奴に狙われてるって噂みたいのがあって…」
「恐縮っス!今やっつけたとこっす!!そのへんに転がしといたんで…!!?」
だがそこには奴はいなかった。黒い煙が立ち上げる場所には人の姿などはどこにも見当たらない。
「手間がはぶけた」
「「!!」」
何時の間に移動したのだろうか、血だらけで立っている男は今にも倒れてしまいそうなのに殺気を放つ。
「気をつけて下さい、奴の武器はヨーヨーです!!」
とっさにダイナマイトを用意する獄寺だが綱吉を狙った攻撃をかばい倒れてしまった。流れる赤に目がくらむ。
「逃げて下さい10代目…」
「え…?獄寺君!!大丈夫!?獄寺君っ!!」
「壊してから連れていく」
ゆらっと近づく敵に綱吉は動けない。獄寺は自分をかばい負傷、逃げたくても怖くて足がすくむ。
「うわあぁ…っ!!」
優羽さんっ…雪兎君…っ…!!
こんなときに思い浮かべたのはふたりの顔だった。
「すべりこみセーフってとこだな」
「え、山本!?」
「こいつぁ…おだやかじゃねーな」
助かった。目の前に現れたのは山本だ。
彼の視線の先は倒れて気を失っている獄寺、夥しいほどの血がみえこれには驚き男を睨んだ。
普段は見せない怒りに綱吉は戸惑いを隠せない。
「邪魔だ」
とっさに山本がバットを手にとり飛んできたヨーヨーを斬りつける。バットが刀に変わったのだ。
攻撃を防がれ多少驚いた男はヒビの入った眼鏡をかけ直す。
「並盛中学2ーA出席番号15番山本武…」
ご丁寧にも説明口調。しかし何かしら意味ありげに話すことに山本は違和感を感じ始める。
「だったら何だ」
「犬の獲物…」
「犬…?それはおまえの仲間かよ」
山本は獄寺と綱吉の前に立ち刀を構える。
そして走り出し刀を振るうが
『間に合った』
ひとりの少年により受け止められた。
「雪兎君…?」
『…こんにちは、ツナ』
どことなく寂しげな笑顔を見せる雪兎がいた。
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