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「どうして…雪兎君が…?」

綱吉はそう言って手を伸ばすがスルッと雪兎は抜け出す。うつむいているため表情はわからないがただ事ではないことは確か。
そして何かを隠していることも確かだった。

『…僕の大切な人達なんだ。だから傷つけないでくれ』

山本の刀はいつの間にかバットへと戻っていた。
わからなかった。雪兎の言葉が、ここにいる少年の言葉が山本達にはいまいち理解ができなかった。

「仲間…なのか?」

山本の言葉に静かに頷くと雪兎は倒れている獄寺に目をやる。

『……千種もやめろ。もういいだろ?』

「……」

千種と呼ばれた男は小さく頷くと黒曜へと重い足取りで少しずつ歩いていく。
それを確認した綱吉はホッと息をついた。


『…ごめんな』

雪兎は苦し紛れに千種の元へと走っていく。
誰も彼を引き止めることはしなかった。いや、出来なかった。咎めることも出来なかった。

「雪兎君…苦しそうだったね…」

「ああ…。あいつはあいつでいろいろとワケがあるんだ、あいつから全部話してくれるまでまつしかないのな…」

「うん、そうだね…」


そして獄寺は病院へと運ばれた。

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